2026年6月3日から6月9日にかけて発表されたマーケティング関連のニュースをまとめました。生成AIが消費者の購買行動に与える影響、BtoB企業の第一想起獲得戦略、マーケティング業務を効率化するAIツールの動向、そしてWeb広告プラットフォームの最新アップデートまで、中小企業の経営判断に役立つ情報をお届けします。
1. 生成AIが購買行動を左右する時代へ——AI検索利用実態調査が示す新たなマーケティング課題
概要
株式会社BLJが2026年6月5日に発表した調査によると、生成AIの認知率は97.6%に達し、利用経験者は全体の58.0%にのぼります。注目すべきは、AI利用者の80.0%が商品・サービス選びでAIの回答を参考にしており、さらにAIに薦められた商品を実際に検討・購入した層が60.7%に達している点です。調査対象は全国の20〜69歳の一般消費者250名で、生成AIが「調べ物の道具」から「購買判断の入口」へと役割を変えつつあることが明らかになりました。また、生成AIへの信頼度がGoogle検索と同等以上と判断する層は64.9%と高く、検索エンジンから生成AIへと消費者の情報源が多様化しています。今後の商品・サービス選び時にAI活用に前向きな層は77.6%にのぼり、この傾向はさらに加速すると予測されます。
中小企業への影響
この調査結果は中小企業にとって見過ごせない警鐘です。AIの回答に登場しない企業は売上機会を失うリスクに直面しています。実際、検討候補がAI回答に未掲載だった経験者が64.8%に達し、そのうち30.3%が選択行動に影響を受けたと回答しています。つまり、自社情報が生成AIに正確に反映されていなければ、潜在顧客に認知される機会そのものが失われるのです。従来型のSEO対策だけでは不十分となり、LLMO(Large Language Model Optimization:大規模言語モデル最適化)やGEO(生成AI検索最適化)への対応が新たなマーケティング課題として浮上しています。複数の生成AIプラットフォームへの対応が必要になることで、対応コストの増加も懸念されます。しかし裏を返せば、早期に対策を講じる企業には競合との差別化機会があるともいえます。
経営者の視点
経営者が取るべきアクションは明確です。まず、自社情報が生成AIの回答に正しく表示される仕組みづくりを優先課題として位置づけてください。具体的には、ChatGPTで「おすすめの美容商品」を検索された際に自社製品が推薦されるよう、情報を構造化することが求められます。SEOに加えてLLMO/GEO対策を含むデジタルマーケティング戦略の拡張が必要です。また、生成AIプラットフォーム対応を含めた情報発信チャネルの多様化も検討すべきでしょう。マーケティング部門のAI対応スキル強化と組織体制の整備、必要に応じてAI検索最適化サービスなど専門支援の活用も視野に入れてください。デジタルマーケティング投資の配分見直しが急務となっています。
参考リンク
PR TIMES:AI検索の利用実態と購買行動への影響に関する調査(2026)を発表
2. BtoB企業の第一想起獲得には「調査白書」が有効——独自データ発信がWeb広告を上回る
概要
株式会社PRIZMAが2026年6月8日に発表した調査レポートによると、BtoB企業のマーケティング担当者・経営層1,010名を対象とした調査で、第一想起(顧客が特定の商品・サービスを検討する際に最初に思い浮かぶ企業名)を獲得している企業の9割以上がこれを重要課題と捉えていることがわかりました。興味深いのは、第一想起獲得に最も効果的だった施策として「独自調査データの発信」が42.8%で第1位となり、Web広告(41.0%)を上回った点です。第一想起が獲得できていない企業の42.6%は「価格競争になる」と指摘しており、差別化困難な市場環境で多くの企業が値引き合戦に陥っている現状が浮き彫りになりました。一方、第一想起を獲得した企業はリード獲得後の商談化率向上をトップベネフィットとして挙げ、コンペにおける勝率向上を期待する企業も36.4%にのぼります。
中小企業への影響
中堅・中小企業にとって、この調査結果は戦略転換のヒントを与えてくれます。調査によれば、33.0%の企業が「他社との違いを問われる」経験をしており、提案段階での差別化説明が課題となっています。実力・品質があっても「最初に名前が挙がらない」という認知の壁を越えるために、「大規模調査データ」という権威的コンテンツが競合との差別化に有効です。予算が限られる中小企業こそ、Web広告より費用対効果の高い「調査白書」への投資を検討すべきでしょう。統計レポートを定期発信することで「業界の定点観測者」というポジションを確立し、知名度向上につなげることが可能です。単発施策ではなく「定期発行白書」として継続的に資産化すれば、メディア引用やインサイドセールス(オンライン・電話を活用した内勤営業)での活用など、複数チャネルで長期的な営業効果を創出できます。
経営者の視点
経営者は以下のアクションを検討してください。まず、市場ニーズ把握のための大規模調査(30問以上のクロス集計)を企画立案します。年間計画に「上半期版・年次版」など定期的な白書発行スケジュールを組み込み、Web広告への配分を調整して調査データ発信コンテンツへ予算をシフトすることを検討します。メディアPRやプレスリリース配信と連動した戦略的な発信スケジュールを構築し、インサイドセールスチームが顧客接触時に活用できる「お土産資料」として位置づけましょう。ただし、調査データの信頼度が低いと企業の信頼性を損なうため、厳密な調査設計が必須です。また、定期発行を予告した後に中断すると逆に信頼低下を招く可能性があるため、継続可能性を事前に十分検討してください。
参考リンク
PR TIMES:第一想起を獲得する企業が実践したマーケ施策とは?BtoB業界調査レポート
3. マーケティングAI OS「ENSOR」がEight EXPO 2026夏に出展——クリエイティブ業務を1/5に短縮
概要
REHATCH株式会社が開発・提供するマーケティングAI OS「ENSOR」が、2026年6月3日〜4日に東京国際フォーラムで開催されたEight EXPO 2026夏に出展しました。同展示会は約130社が出展し、想定商談数4,500件規模の営業・マーケティング・AI活用を統合したビジネス展示会です。ENSORの最大の特徴は「従来の1/5の時間でクリエイティブ施策を実行」できる点にあります。散在するデータ(広告・CRM・GA)を統合分析し、非デザイナーでもプロ品質の制作が可能な仕組みを提供しています。また、業界初とされる「Skills機能」により、専門知見を自動化することが可能です。マーケター向けのAI活用ニーズが高まる中、クリエイティブ業務の効率化が課題となっている企業に向けたソリューションとして注目を集めています。
中小企業への影響
このようなマーケティングAIツールの登場は、中小企業のマーケティング体制に大きな変化をもたらす可能性があります。少人数のマーケティング部門でも大量のクリエイティブを生成できるようになり、インハウス化による社内人材リソース不足の解決につながります。バナーやLP(ランディングページ)の作成を外注から内製へシフトすることで、コスト削減と制作スピードの向上を同時に実現できます。データ分析機能により施策の成果可視化が容易になり、PDCAサイクルの高速化も期待できます。制作時間の短縮によって、これまでクリエイティブ業務に割いていた人員を営業や経営企画へ配置転換することも可能になるでしょう。EC企業であれば、複数商品の広告バナーを「勝ちパターン」から大量自動生成してテスト運用するといった活用が考えられます。AI支援による単価低減も見込めます。
経営者の視点
経営者がこうしたAIツール導入を検討する際は、まず同業種の導入事例を確認し、具体的なROI(投資対効果)を算出することが重要です。マーケティング内製化推進計画を策定し、クリエイティブ業務プロセス改革の検討を開始してください。法人向け個別説明を予約して詳細を確認することも有効です。ただし、注意すべき点もあります。AI生成クリエイティブがブランドトンマナ(企業ブランドの視覚表現ルール:配色・フォント・トーン等の一貫性指針)に適合しているかの検証は必須です。また、システム導入による既存プロセスやスタッフ配置の大幅変更リスク、ベンダー依存度上昇による運用継続性の課題も考慮する必要があります。デジタル名刺交換による営業ネットワーク構築の機会としても活用できるでしょう。
参考リンク
PR TIMES:マーケティングAI OS「ENSOR」、Eight EXPO 2026 夏に出展・ブース予約キャンペーン実施中
4. 国内最大級AIポータル「AIsmiley」がマーケティング夏季展に出展——カオスマップで導入検討を支援
概要
株式会社アイスマイリーが、2026年6月24日〜26日に東京ビッグサイトで開催される第27回マーケティング夏季展示会「マーケティング戦略立案 EXPO」にブース出展することを発表しました。同社が運営するAIsmileyは月間300万PV、掲載製品500以上を誇る国内最大級のAIポータルサイトです。生成AIの進化とAIエージェント(複数タスクを自動実行可能な自律型AI)の登場により、企業のマーケティング現場でAI活用が急増しています。従来のデータ分析・広告最適化の領域から、コンテンツ生成・顧客対応・キャンペーン設計へとAI活用の範囲は拡大しています。マルチモーダル感情認識やAIエージェント活用が一般化しつつある中、同社は急速に進化するAIソリューション選定の複雑さに対応するため、7カテゴリーで整理した「カオスマップ」を提供しています。
中小企業への影響
中小企業にとって、AI導入の選択肢が広がることは歓迎すべき変化です。様々な規模の企業向けにAI導入相談を受け付けており、カオスマップ(複数テーマ別)が無償提供されるため、導入検討の判断材料を入手しやすくなっています。コンテンツ生成から顧客対応まで業務効率化ツールの活用機会が増加し、AIエージェントや生成AI導入による業務自動化が現実的になってきました。たとえば、生成AIでマーケティング案件の企画書を自動生成して業務時間を削減したり、AIエージェントで顧客問い合わせを自動分類・初期対応して対応品質とスピードを向上させたりといった活用が可能です。展示会での無料個別相談を活用すれば、導入のハードルを下げることができます。DX推進支援プラットフォームへのアクセスにより、先端技術情報の入手も容易になります。
経営者の視点
経営者は、まずマーケティング夏季展に無料登録して展示会に参加し、最新のAI動向を把握することをお勧めします。AIsmileyの「マーケティング支援AIサービスカオスマップ」を資料請求し、候補となるサービスを整理してください。ブース小間番号M11-82を訪問し、自社の業務課題を具体的に相談することで、業種・業態に適したソリューションを見つけやすくなります。生成AI・チャットボット等の複数カオスマップを活用して段階的な導入計画を策定し、AIsmileyの月間300万PVメディアをDX推進の情報源として定期的に閲覧することも有効です。ただし、AI導入による業務プロセス変更時には従業員教育・対応が必要となります。また、サービス選定後の運用・継続的な最適化投資が別途必要になる点も考慮してください。
参考リンク
PR TIMES:マーケティング夏季展 2026内「マーケティング戦略立案 EXPO」にブース出展
5. Web広告5媒体の最新アップデート——AI Max for Shoppingやクリエイティブ・シーケンシング機能が登場
概要
プライムナンバーズ株式会社が2026年6月3日に公開した記事によると、主要Web広告プラットフォームで注目すべきアップデートが相次いでいます。Google Marketing Live 2026では「AI Max for Shopping」が発表され、標準運用と全自動運用の中間的なポジションを実現しました。また、Gemini搭載の新AIアシスタント「Ask Advisor」により、複数広告ツールを横断したチャット型サポートが開始予定です。LINEヤフー広告では検索広告APIに検索連動型ショッピング広告機能が2026年7月8日に追加されます。TikTok World 2026ではクリエイティブ・シーケンシング機能(複数の広告素材を連続展開してストーリー性を持たせる配信手法)が発表され、トップリーチで連続ストーリー配信が可能になりました。LinkedIn広告ではLinkedIn外開催のウェビナーも広告対象となり、Microsoft広告P-MAXでは除外キーワード設定機能が対応しています。
中小企業への影響
これらのアップデートは中小企業の広告運用に具体的なメリットをもたらします。AI Maxの導入により、売れ筋以外の商品の発掘が自動化され、カタログ全体の売上機会拡大が期待できます。たとえば5,000SKUを保有しながら売上の90%が上位200品に集中している場合、AI Maxで未露出の残り4,800品の販売機会を創出できます。複数媒体横断のAIアシスタント利用により、限られた運用人員でも高度な分析が実施可能になります。ウェビナー型広告のLinkedIn対応で、既存ツールを活用したままBtoB見込み客獲得が効率化されます。PC配信拡大によるLINE友だち追加広告のリーチ増加も見込まれます。一方で、画像最小サイズ引き上げによる制作仕様変更への対応が新たな工数負担として発生する点には注意が必要です。
経営者の視点
経営者は以下のアクションを優先的に検討してください。Merchant Centerのフィード品質監査を実施し、AI Max導入の前提条件を整備します。既存ディスプレイ広告の画像資産をLINEヤフー新基準に早期対応させるスケジュールを策定してください。AI自動最適化の導入により「フィード品質」が成果を左右する重要要素となるため、品質低下時の失敗リスクに備える必要があります。Google Analytics等との数値乖離への対応方針をクライアントへの事前説明体制として整備することも重要です。ビュースルーコンバージョン(広告表示後クリックなしに発生した購買行動)有効化時にレポートCV数が増加し、外部計測ツールとの齟齬が拡大する可能性があるためです。BtoB企業はLinkedIn広告によるウェビナー施策と既存システムとの連携確認も進めてください。
参考リンク
プライムナンバーズ株式会社:Web広告5媒体最新アップデートまとめ【26年6月更新】
まとめ
今回のマーケティング関連ニュースからは、AIが消費者行動と企業のマーケティング活動の両方を大きく変えつつある状況が見えてきます。生成AI検索への対応は「やるかやらないか」ではなく「いつやるか」の問題となっており、早期に着手した企業ほど競争優位を築けるでしょう。BtoB企業においては、独自調査データを活用した第一想起獲得戦略が価格競争から脱却する有効な手段として注目されています。マーケティングAIツールの進化により、少人数のチームでも高品質なクリエイティブを大量に生成できる時代が到来しました。Web広告プラットフォームの機能強化も続いており、AI最適化を最大限活用するためのフィード品質管理がこれまで以上に重要になっています。自社の状況に合わせて優先順位をつけ、段階的にAI対応を進めていくことをお勧めします。

