DXニュースまとめ(2025年11月14日〜11月20日)

DXニュースまとめ(2025年11月14日〜11月20日)

中小企業経営者が押さえておくべき重要なDXニュースは、製造現場のO&Mサービス刷新、IT導入補助金2025によるDX支援、マイナンバーカードを軸にした医療DX、地方建設会社コプロスの現場DX事例、自治体DXに関する給付金デジタルシフト調査の5つです。DX(デジタルトランスフォーメーション)は、もはや一部の大企業だけの話ではなく、あらゆる業種・規模の企業に直結するテーマになっています。

この記事では、2025年11月14日〜11月20日の期間に発表された国内のDX関連ニュースから、特に中小企業の経営に影響が大きい5つのトピックをピックアップしました。製造業・リユースEC・医療・建設・自治体という異なる分野の動きを俯瞰しながら、「自社のDXをどこから始めるか・どう進めるか」という視点で解説していきます。

目次

1. 製造現場のO&MをスモールスタートでDX──東芝がクラウドサービスを刷新

概要

東芝デジタルソリューションズは、工場やプラントの設備を遠隔監視・保守するクラウドサービス「Meister OperateX」「Meister RemoteX」のサービス体系を刷新し、小規模設備から導入できる「ベーシックエディション」を追加しました。これにより、これまで100台以上の設備を前提としていたサービスを、少数の設備から試せるようになり、効果を確認しながら段階的に複数工場・大規模設備へと拡張できる構成になりました。O&M(運用・保守)業務の省力化や熟練人材のノウハウ継承を、IoTとクラウドを組み合わせて支援する狙いがあります。

中小企業への影響

これまでDXの対象になりにくかった中小規模の工場でも、クラウド型の保守プラットフォームを使って設備の稼働状況を見える化しやすくなります。例えば、1つのラインや数台の主要設備だけを対象に、温度や振動などの稼働データを集めて異常の兆候を早めに把握できれば、突発的な停止による機会損失や残業の増加を抑えられます。レポート作成などの事務作業も自動化しやすくなり、少人数で回している現場ほど効果が出やすい取り組みです。設備保全の属人化を減らし、誰が見ても状況が分かる仕組みを作ることで、後継者不足やベテランの退職によるノウハウ喪失リスクも軽減できます。

経営者の視点

経営者としては、「すべてを一気にDXする」のではなく、今回のようなスモールスタート型のサービスを活用して、小さく試しながら成功体験を積み上げる発想が重要です。まずは設備保全やエネルギーコストなど、自社で「一番痛い」と感じる領域を1つ決め、そこにデータ収集と見える化を集中させると成果が出やすくなります。そのうえで、得られたデータの活用方法や現場の働き方の変化を社内で共有し、次に広げる範囲を検討する、という段階的なアプローチが現実的です。こうした取り組みを通じて、将来的には生産計画や人員配置の最適化など、経営レベルの意思決定にもデータを活用できる土台を整えていくことができます。

参考リンク

東芝デジタルソリューションズ:O&M(運用・保守)クラウドサービスのサービス体系を刷新

2. IT導入補助金2025で最大450万円──リユースEC向けDX支援が拡大

概要

PR TIMESの発表によると、大阪のIT企業・株式会社ワサビが「IT導入補助金2025」の導入支援事業者に採択されました。リユース特化型EC一元管理システム「WASABI SWITCH」を活用することで、業務効率化やDXに向けたITツール導入費用の最大450万円(原則1/2)まで補助を受けられる仕組みです。補助対象にはソフトウェアの利用料だけでなく、クラウドサービスの利用料金やサポート費用も含まれており、EC運営の自動化・効率化を進めたい中小企業にとって、投資負担を抑えながらDXに取り組める制度設計になっています。

中小企業への影響

IT導入補助金は、中小企業のDXを後押しする代表的な公的支援策であり、今回のように特定業界向けのITツールが支援対象に含まれることで、現場で使いやすいソリューションを導入しやすくなります。特にリユースやEC事業では、在庫・受注・出荷情報がバラバラになりやすく、少人数での運営に負担がかかりがちです。補助金を活用して、受注管理や在庫連携を自動化すれば、担当者は価格戦略や仕入れ戦略など、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになります。結果として、売上アップだけでなく、残業削減や人手不足への対応にもつながります。ECを新規事業として立ち上げたい企業にとっても、初期投資のハードルを下げる強力な武器になります。

経営者の視点

経営者としては、「単に安くITツールを入れるチャンス」と見るのではなく、自社のビジネスモデルや業務プロセスを見直すきっかけとして活用することが重要です。まず、どの業務がボトルネックになっているか、紙やExcelで限界を感じている部分はどこかを洗い出し、その優先順位をつけてからIT導入計画を立てると、補助金の効果を最大化できます。また、補助金には申請スケジュールや要件があります。支援事業者任せにせず、自社でも公式サイトの情報を確認し、社内で「DXの目的は何か」を共有しておくことで、導入後の活用度合いが大きく変わります。

参考リンク

PR TIMES:株式会社ワサビは「IT導入補助金2025」の導入支援事業者に採択

3. マイナンバーカードと医療DXで高齢化の課題に挑む動き

概要

デジタル情報メディア「デジタルクロス」は、「マイナンバーカードと医療DXで高齢化が進む日本の課題を解消する」という記事で、日本の医療・介護分野が抱える構造的な課題と、その解決策としての医療DXの方向性を紹介しています。高齢化に伴う医療費の増大や医療従事者の不足、診療情報が病院ごとに分断されている現状を指摘しつつ、マイナンバーカードの健康保険証利用やオンライン資格確認、電子カルтеの標準化などを通じて、患者情報を安全に連携させていく構想が解説されています。これにより、重複検査の削減や、かかりつけ医と病院の連携強化が期待されています。

中小企業への影響

一見すると医療機関向けの話に見えますが、地域のクリニックや調剤薬局、介護事業者などは多くが中小企業です。診療情報や処方情報がデジタルでつながることで、受付や会計の業務負担が減り、スタッフ数が限られた事業者ほどメリットが大きくなります。また、ヘルスケア関連のソフトウェアやデバイスを提供する企業にとっても、共通基盤が整うことで新しいサービスを企画しやすくなります。たとえば、服薬履歴や通院履歴を活用した見守りサービス、健康経営支援サービスなど、医療データと連動したBtoBサービスの需要が今後高まる可能性があります。

経営者の視点

経営者としては、医療・介護分野に直接関わっていない場合でも、「自社の事業と医療DXをどう結びつけられるか」を一度考えてみる価値があります。従業員の健康管理や福利厚生の強化、地域住民向けの見守りサービスとの連携など、医療データが安全に流通する社会では新しいビジネスの種が生まれやすくなります。また、自社が医療・介護事業者である場合は、紙中心の運営からどの範囲をデジタル化すべきか、早めにロードマップを描いておくことが重要です。国の制度変更は待っているだけではチャンスを逃しやすいため、自治体やベンダーからの情報収集を習慣化し、自社がどのタイミングで投資するかを主体的に判断していく必要があります。

参考リンク

デジタルクロス:マイナンバーカードと医療DXで高齢化が進む日本の課題を解消する

4. 地方建設会社コプロスのDX──スモールスタートで成果を積み重ねる

概要

IPAのDXポータル「DX SQUARE」では、山口県下関市の建設会社コプロスのDX事例が紹介されています。同社は高齢化した社員構成や紙中心の業務、現場と本社の情報断絶といった課題を抱えながらも、社用スマホの配布とチャットツールの導入からDXに着手しました。日報や現場写真の共有、ビデオ通話による状況確認など、身近なツールを使った小さな改善を積み重ねることで、徐々に社内の働き方を変えてきた様子が語られています。こうした取り組みが評価され、経済産業省の「DXセレクション2025」準グランプリを受賞するなど、建設DXの先駆的な事例として注目されています。

中小企業への影響

コプロスの事例は、「専門のIT部門や大きな投資がなくてもDXは進められる」ということを示しています。現場の紙の日報をデジタル化し、Microsoft 365を活用して自社の簡易アプリを内製した結果、工事原価や進捗の可視化が進み、請求処理などのバックオフィス業務では年間400時間かかっていた作業を約25時間まで削減できたと紹介されています。 これは、少人数で現場と事務を兼務している地方企業にとっても再現性の高いアプローチです。まずは自社の「情報の流れ」を見直し、どこで紙やFAXがボトルネックになっているかを把握することが、DXの第一歩になります。

経営者の視点

経営者として学べるポイントは、いきなり高度なシステムを導入せず、「スモールスタートで成功事例を作り、それを横展開する」という進め方です。コプロスでは、若手社員がデジタルツールの先生役となり、ベテラン社員が現場の知恵を教えるという「教え合う関係」を作ることで、抵抗感を和らげています。また、月1回のアプリ発表会を開き、各部署の工夫を共有することで、DXを“現場任せ”や“情報システム部任せ”にせず、会社全体の取り組みに格上げしている点も参考になります。自社でも、小さな改善から始めて社内の成功事例を可視化し、社外にも発信していくことで、採用や取引先からの評価向上にもつなげられます。

参考リンク

DX SQUARE:失敗から学んだ“建設DXの先駆者”コプロス──スモールスタートで成功事例を積み重ねる

5. 自治体DX調査──給付金のデジタルシフトに高まる住民ニーズ

概要

FNNプライムオンラインに掲載されたPR TIMES配信の記事では、デジタルギフトサービス「デジコ」を運営するDIGITALIOが実施した「自治体DXに関する調査」の結果が紹介されています。全国の20代〜70代を対象に、給付金や補助金の受け取り方法に関する意識を調べたところ、行政手続きの最大の不満は「役所の窓口に行く必要がある」で42.5%と最も多く、銀行口座情報の入力や確認を「手間だと感じる」人も約6割に上りました。緊急時の給付金では約8割が受け取りまでのスピードを重視しており、オンライン申請やデジタル給付への期待が高まっていることが示されています。

中小企業への影響

給付金のデジタルシフトは自治体だけのテーマではなく、地域の事業者にも影響します。行政手続きのオンライン化が進めば、補助金や支援制度の情報がデジタルで届きやすくなり、申請にかかる時間も短縮されます。また、デジタルギフトやポイントを活用した地域振興策が増えれば、商店街や小売店、飲食店など中小企業にも新しい集客のチャンスが生まれます。一方で、高齢者層には「使い方がわからない」「個人情報が不安」といった声も一定数あり、デジタルと対面サポートを組み合わせた設計が求められていることも調査から読み取れます。

経営者の視点

経営者としては、自治体DXの進展を「自分たちには関係ない行政の話」と切り離さず、地域のデジタル化にどう関わるかを考えることが重要です。例えば、デジタル商品券やポイント施策に参加する、店舗側でもスマホ決済やオンラインクーポンに対応する、といった準備を進めておくことで、行政の施策を売上増につなげやすくなります。また、高齢の顧客が多い業態では、スタッフが申請方法や使い方を丁寧に説明できるようにしておくことで、地域から頼られる存在になれます。自治体と連携しながら、「デジタルに不慣れな人を支える役割」を担うことも、中小企業が地域で選ばれ続ける大きな差別化要因になります。

参考リンク

FNNプライムオンライン:自治体DXに関する調査 給付金の「デジタルシフト」に高まる期待と世代別ニーズ

まとめ

DXに関する最近の動きを振り返ると、「スモールスタートでの現場DX」「公的支援策の活用」「医療・自治体など社会インフラ領域でのデジタル化」といった流れが強まっていることが分かります。大企業だけでなく、地方の建設会社やリユースEC事業者など、規模の小さなプレーヤーもDXの主役になりつつあります。

中小企業の経営者にとって重要なのは、こうしたニュースを“眺めるだけ”で終わらせず、「自社ならどこから着手できるか」「今使える支援策は何か」を具体的な行動に落とし込むことです。設備保全やバックオフィスの省力化、ECや決済のデジタル化、自治体や医療機関との連携など、取り組めるテーマは必ず見つかります。まずは一つの領域に絞って小さく試し、成功体験を社内で共有しながら、段階的にDXの範囲を広げていきましょう。

今後もDX関連の政策や事例は次々と登場していきます。継続的に情報収集を行い、外部の事例から学びつつ、自社に合ったペースでデジタル活用を進めていくことが、持続的な成長と人材確保の両立につながります。

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