マーケティングニュースまとめ(2026-02-11〜2026-02-17)

2026年2月11日から2月17日にかけて発表されたマーケティング関連ニュースの中から、中小企業経営者が押さえておくべき5つのトピックをピックアップしました。AIエージェントによるマーケティング業務の自動化、BtoBホワイトペーパーの品質問題、店舗向け統合SaaSの登場、スポーツイヤーを活用したSNS戦略、そしてノーコードで業務AIを構築できる新サービスについて、それぞれの概要と中小企業への影響、経営者としての視点をお伝えします。

目次

1. Hakuhodo DY ONEがAIエージェント戦略「ONE-AIGENT」を発表

概要

Hakuhodo DY ONEは「ONE-AIGENT(ワン・エージェント)」と名付けたAIエージェント戦略を発表しました。この戦略は、AIエージェント型の広告運用、生成AIを活用したクリエイティブ制作、クライアント企業のAIエージェント構築支援という3つの柱で構成されています。従来のマーケティング運用では、膨大なタスクに対してリソースが不足し、詳細な分析や仮説検証が十分に行われないという構造的な課題がありました。ONE-AIGENTでは、分析レポートの作成やCPA分析をAIエージェントが自動で担当することで、この課題を解決しようとしています。

中小企業への影響

AIエージェントの登場により、タスク自動化による運用効率化が中小企業でも実現可能になりつつあります。特に分析レポート作成やCPA分析の自動化は、専門人材が不足しがちな中小企業にとって大きなメリットとなるでしょう。複数の広告媒体間での予算配分を最適化する機能は、限られた広告費を最大限に活用したい企業にとって有効です。一方で、マーケター人員の役割が定型業務から戦略業務へと転換していく必要があり、社内の人材育成や役割の見直しが求められます。

経営者の視点

経営者としてまず取り組むべきは、自社のマーケティング業務のどの領域をAI化するかという戦略の策定です。すべてを一度に自動化するのではなく、段階的なAI導入ロードマップを描くことが現実的なアプローチといえます。現在オペレーション業務を担当している人員については、分析力や仮説立案スキルを再教育する投資が必要になるでしょう。AIエージェント型サービスを提供する広告パートナーとの関係構築も重要な経営判断です。ただし、GoogleなどプラットフォーマーのアルゴリズムにはAI導入後も左右される可能性があることを認識しておくべきです。

参考リンク

MarkeZine:AIエージェントが創るマーケティング新常識 Hakuhodo DY ONEのONE-AIGENT戦略

2. BtoBホワイトペーパー調査で9割が内容に不満、DL直後の架電も逆効果と判明

概要

調査機関IDEATECHが2026年2月に実施した調査により、BtoBマーケティングにおけるホワイトペーパーと営業アプローチの課題が明らかになりました。BtoB商材の導入検討経験者438名を対象にした調査では、ホワイトペーパーの内容にがっかりした経験がある人が88.2%にのぼりました。がっかりした理由の1位は「内容が薄く一般的な情報のみ」で70.5%を占めています。さらに深刻なのは営業アプローチの問題です。資料ダウンロード直後に電話を受けた経験がある人は85.4%で、そのうち57.8%が即座の架電を迷惑と感じていました。

中小企業への影響

中小企業にとって、限られたリソースで作成したホワイトペーパーが成果に結びつかないリスクは看過できません。一般的な情報を並べただけの資料では、むしろ企業イメージを損なう可能性すらあります。また、営業組織が実施する即座の架電がマーケティング投資の効果を相殺してしまうケースも多く見られます。中小企業は大企業以上にコンテンツの質で差別化する必要性が増しています。リード獲得から育成までの一貫したプロセス設計が求められ、マーケティング部門と営業部門の間で、接触タイミングの基準を明文化しておくことも不可欠です。

経営者の視点

経営者として優先的に取り組むべきは、ホワイトペーパーの内容刷新です。一般的な情報ではなく、読者が実際に行動に移せる具体的なノウハウを提供するコンテンツへと転換する必要があります。営業プロセスの見直しも急務です。ダウンロード直後の即架電を廃止し、段階的なナーチャリング(育成)プロセスを導入することをお勧めします。見込み客の購買段階を判定してからアプローチに切り替える仕組みを整え、マーケティングと営業の接触タイミング基準を明文化してください。短期的な数字に惑わされず、顧客との信頼関係構築を重視する姿勢が求められます。

参考リンク

Web担当者Forum:BtoBホワイトペーパー調査 9割が内容にがっかり、DL直後の架電も逆効果

3. LINEヤフーが飲食店・ヘアサロン向け統合SaaSを6月に提供開始

概要

LINEヤフーは2026年2月12日、飲食店向けの「LINEレストランプラス」とヘアサロン向けの「LINEビューティープラス」を2026年6月から提供開始すると発表しました。これらは予約から販促まで一気通貫で対応できる統合SaaSサービスです。店舗が抱える課題として、友だち追加のハードル、来店前後のデータ分断、業界特化型活用方法の不透明性が挙げられていますが、このサービスはLINEタッチ機能と組み合わせることでこれらを解決しようとしています。価格面では飲食店向けが月額実質0円スタート、ヘアサロン向けが半額でスタート可能と、導入ハードルを低く設定しています。

中小企業への影響

飲食店においては、モバイルオーダー、CRM機能、多言語翻訳、リアルタイム売上可視化といった機能が手軽に導入できるようになります。ヘアサロンでは予約管理、電子カルテ、自動フォローアップが統合され、業務効率化と顧客満足度向上の両立が期待できます。初年度の導入コストが抑えられている価格設定は、中小規模の店舗にとって参入障壁を大きく下げるものです。東京・大阪にはサポート拠点が設置されるため、導入時の不安解消や運用支援を受けやすい環境が整います。これまでバラバラだった予約・注文・会計・販促のシステムが統合されることで、店舗運営の効率が大幅に改善される可能性があります。

経営者の視点

飲食店やヘアサロンを経営されている方は、まず自店舗のデジタル化の現状を棚卸しし、このサービスの導入可否を検討することをお勧めします。初年度の低コスト導入プランを活用して試験的に導入し、効果を検証するアプローチが有効でしょう。既存の予約システムや会計システムとの連携可否の確認も重要な事前準備です。導入後は顧客データを活用した販促戦略の設計に取り組み、空席発生時の即座の案内配信や事前カウンセリングシートの送付など、具体的な施策を展開できます。ただし、デジタル化に対する従業員の不安感への対応や、操作研修の計画も忘れずに行ってください。

参考リンク

MarkeZine:LINEヤフー、飲食店・ヘアサロン特化の統合SaaSを6月提供開始 予約から販促まで一気通貫

4. 2026年スポーツイヤーに向けた企業SNS戦略のポイント

概要

2026年は冬季オリンピックやFIFAワールドカップなど複数の大型スポーツイベントが予定されており、企業のSNS担当者にとって重要なモーメントが続きます。TBWA HAKUHODO傘下のソーシャルリスニングチーム「65dB TOKYO」によると、2022年のFIFAワールドカップ時にはX上で900万以上の話題が生成された実績があります。成功の要因は、熱量高く応援する一員としての投稿姿勢、象徴的シーンへの即座の反応、後日談を組み込むフォーマットの3点です。一方で課題となるのは承認プロセスによるタイムラグです。

中小企業への影響

中小企業であっても、自社商品との親和性があればトレンドに便乗することで大きな反応を獲得できる可能性があります。大型イベントに合わせた投稿計画を立てることで、限られたリソースでも大手企業と同じ土俵で勝負できるチャンスが生まれます。重要なのは事前準備です。承認フローを事前に簡素化しておくことで、リアルタイムでの投稿機会を逃さずに済みます。年間のトレンドモーメントを把握し、計画的にSNS運用を行う体制を整えることが差別化につながります。ただし、無理に話題に参入しても埋もれる可能性が高いため、自社と関連性のあるモーメントを見極める目が必要です。

経営者の視点

経営者としてまず取り組むべきは、年間のトレンドモーメントを事前に把握してカレンダー化することです。2026年のスポーツイベントスケジュールを確認し、自社商品との親和性を洗い出してください。次に、どの話題に乗るべきか否かのルールを事前に決定しておくことが重要です。企業と無関係な話題への無理な参入はブランド毀損リスクがあるため、判断基準を明確にしておく必要があります。リアルタイム対応を可能にするには、SNS投稿の承認フローを簡素化する組織体制の整備が欠かせません。担当者に一定の裁量を与え、タイミングを逃さない仕組みを作ってください。計画的な準備と即応性の両立が成功の鍵です。

参考リンク

MarkeZine:2026年はスポーツイヤー 企業アカウントがトレンドモーメントに乗るSNS戦略

5. NTTデータCCSがノーコードで業務AIエージェントを構築できる「つなぎAI」を提供

概要

NTTデータとENEOSグループの共同出資会社であるNTTデータCCSは、SaaS型AIエージェント基盤サービス「つなぎAI(Tsunagi AI)」を提供しています。このサービスは米国LangGeniusのLLM開発プラットフォーム「Dify」をベースとしており、ノーコード・ローコードでAIチャットボットや業務エージェントを作成できることが特徴です。企業の生成AI活用が本格化する中で、業務データと安全に連携できない、実務で活用しきれないという課題が顕在化していました。つなぎAIは認証・権限管理を標準搭載し、既存システムやSaaSとの連携に対応することでこれらの課題に応えています。

中小企業への影響

高度なプログラミング知識がなくても業務自動化を実現できる点は、中小企業にとって大きなメリットです。専門エンジニアが社内にいなくてもAI導入に着手できるため、人材面のハードルが下がります。具体的な活用例として、社内規程やマニュアルに関する従業員からの問い合わせをAIが自動対応することで、バックオフィス業務の負荷を削減できます。経費申請や集計処理といった定型業務の自動化により、人的ミスの削減と業務効率向上が期待できます。SaaS型のため初期投資を抑えて導入できる点も、資金面で制約のある中小企業には魅力的です。

経営者の視点

導入を検討する際は、まず既存システムの棚卸しを行い、連携可能なシステムやデータを把握することから始めてください。次に業務プロセスの中で自動化可能な領域を特定します。問い合わせ対応や定型的な申請処理など、繰り返し発生する業務が優先候補となるでしょう。ノーコード環境であっても、どのような業務をAIに任せるかという設計思想の理解は必要なため、担当者の育成計画も立てておくべきです。NTTデータCCSによる導入支援を活用し、段階的な導入計画を策定してスモールスタートで効果検証することをお勧めします。注意点として、権限管理設定の誤りによる情報漏洩リスクがあるため、セキュリティ面の設定には十分な注意を払ってください。

参考リンク

Web担当者Forum:NTTデータCCS、ノーコードで業務AIエージェントを構築できる「つなぎAI」を提供開始

まとめ

今回取り上げた5つのニュースに共通するのは、AIやデジタルツールの活用が中小企業にとっても現実的な選択肢になりつつあるという点です。Hakuhodo DY ONEのAIエージェント戦略やNTTデータCCSのノーコードAI基盤は、専門人材の不足を補い、業務効率化を実現する手段として注目に値します。一方で、BtoBホワイトペーパー調査が示すように、テクノロジーの活用以前に顧客視点での価値提供という基本が問われています。LINEヤフーの店舗向けSaaSは導入障壁を下げた統合サービスとして、飲食店やヘアサロンのデジタル化を後押しするでしょう。そしてスポーツイヤーのSNS戦略は、事前準備と組織体制の整備により、中小企業でも大きな認知獲得の機会を得られることを示しています。各ニュースの内容を自社の状況に照らし合わせ、優先順位をつけて取り組みを検討してみてください。

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