生成AIニュースまとめ(2026年1月26日〜2月1日)

生成AIニュースまとめ(2026年1月26日〜2月1日)

 
生成AI(ジェネレーティブAI)分野では、価格が下がって“試しやすくなる”動きと、機密データでも“安全に使う”ための基盤づくりが同時に進んでいます。さらに、社内で使い切るための制度設計や、利用者のリスク認識と行動のギャップも浮き彫りになりました。
この期間に中小企業経営者が押さえておくべき重要なニュースは、①ロボット×生成AIの開発支援、②低価格AIプランの登場、③AI活用を文化にする制度、④プライベートAI基盤の拡大、⑤利用規約・安全運用の課題、の5つです。
 

目次

1. AWS ジャパンが「フィジカルAI」開発を支援、ロボット×生成AIの商用化が加速

概要

結論から言うと、ロボットや現場機器に“生成AIの頭脳”を載せたい企業に追い風です。AWSジャパンは、Vision-Language-Action(VLA)などロボット基盤モデルの開発を支援する「フィジカルAI開発支援プログラム」の応募受付を開始しました。データ収集から前処理、学習、シミュレーション、実機への展開まで一連の開発パイプラインづくりを支援し、採択者には専門家の技術支援やAWSクレジット、コミュニティ形成、導入企業とのマッチングまで用意されています。クレジットはプログラム全体で最大600万USドル規模を予定しており、モデルのファインチューニングやシミュレーション、合成データ生成などの負荷が大きい作業を後押しします。応募締切は2026年2月13日で、支援期間は3月初旬〜6月を予定しています。
 

中小企業への影響

中小企業でも「人手不足」「品質のばらつき」「危険作業」を、ロボット+生成AIで埋める選択肢が現実味を帯びます。たとえば倉庫の仕分け、検品、設備点検、飲食の配膳補助などは、作業が“見える化”しやすく、VLAのような仕組みと相性が良い領域です。さらに、シミュレーションや合成データ(現場を模した“仮想の学習データ”)を活用できれば、データ収集コストを抑えつつ改善サイクルを回しやすくなります。一方で、現場データ(画像・動画・作業ログ)の整備がないと学習が進まず、PoC(小さな実験)止まりになりがちです。また、AIが判断する範囲と人が確認する範囲を線引きしないと、安全面・責任分界が曖昧になります。
 

経営者の視点

まずは「自社の現場で、繰り返し・例外が少ない作業」を棚卸しし、AI化の優先順位を決めましょう。次に、作業を撮影できる環境や、手順書・チェックリストの整備など“学習の材料”を準備します。ロボット導入は初期投資が大きく見えますが、手戻りを減らすコツは“いきなり全自動を狙わない”ことです。人が最終確認する設計で始め、精度が上がった部分だけ自動化を広げると失敗しにくいです。外部パートナーに任せる場合も、現場側の責任者を置き、KPI(削減時間・不良率・稼働率)を数字で追うことが成功の近道です。現場の安全教育やヒヤリハットの記録も、AI改善の材料になります。
 

参考リンク

AWSブログ:フィジカルAI開発支援プログラム by AWSジャパン
 

2. 月額1200円で最新生成AIへ、Googleの新プラン「Google AI Plus」が日本でも開始

概要

結論はシンプルで、生成AIが「一部の先進企業の道具」から「誰でも使える仕事道具」に近づきました。Googleは個人向けサブスクリプション「Google One」で新料金プラン「Google AI Plus」を提供開始し、日本では月額1,200円です。従来、最新AIモデルを使うには月額2,900円の上位プランが必要でしたが、より低価格で最新モデルを触れるようになります。プランにはGeminiアプリでの最新モデル利用、NotebookLMの利用上限拡大、AIによる映像制作ツールなどが含まれ、さらにGmailやドキュメントなど日常のGoogleアプリからGeminiを呼び出せる機能も使えます。開始に合わせて、最初の2カ月を割引するキャンペーンも案内されています。
 

中小企業への影響

中小企業にとって一番効くのは「試せるハードルが下がる」ことです。高額なツールをいきなり契約できなくても、少額で“自社に合うか”を検証できます。具体的には、営業メールの下書き、議事録の要約、社内マニュアルのたたき台作成、提案書の構成案づくりなど、すぐに効果が出やすい業務が多いです。一方で、安く使えるほど“社内に散発的に導入される”リスクも高まります。個人が勝手に導入して顧客情報を入力してしまう、出力を鵜呑みにして誤情報を出してしまう、といった事故は起きやすいので、ルール整備が重要です。
 

経営者の視点

「導入するかどうか」より先に、「どの業務で、何を成果とするか」を決めてください。おすすめは、1〜2時間でできる小さなタスクを3つ選び、AIなしの所要時間と、AIありの所要時間を比べることです。次に、入力して良い情報・ダメな情報を明文化し、共有フォルダやメールに残す文書は必ず人が見直す、など最低限のガードレールを引きます。生成AIは“社員の能力差を埋める”反面、“判断を鈍らせる”面もあります。最終判断は人が持つ、根拠が必要な情報は別ソースで確認する、という当たり前を仕組みに落とし込むことが、投資対効果を最大化します。
 

参考リンク

ケータイ Watch:新プラン「Google AI Plus」提供開始、月額1200円 Gemini 3 Proと200GBストレージに対応
 

3. GMOインターネットグループが「AI前提で働く日」を制度化、全社員で“使う文化”を作る

概要

結論から言うと、生成AIは「導入しただけ」では成果が出ず、“使い切る仕組み”が勝負です。GMOインターネットグループは、全パートナー(従業員)が集中してAIに取り組む日として「GMO AI Day」を開始しました。毎月第4木曜日に実施し、「AI前提で仕事をする」ことを組織ぐるみで徹底します。同社の社内調査では、生成AIの業務活用率が96.2%、1人当たりの月間業務削減時間が46.9時間とされ、すでに大きな効果が出ていることも公表しています。当日はAI活用のルール(「GMO流AI活用7ヵ条」)の唱和、業務分解の実践、セミナー学習とその場での試行、AIエージェントでの自動化挑戦、非エンジニア向けリスキリング施策の受講など、具体的な行動が設計されています。
 

中小企業への影響

中小企業は「人が少ないから無理」と思いがちですが、むしろ小規模ほど文化を変えやすいです。AI活用が定着しない理由は、ツール不足よりも“忙しさで試せない”ことが多いからです。制度として時間を確保し、成功例を共有するだけで、使い方が一気に揃います。特に、見積書作成、問い合わせ対応、採用文面、SNS投稿案、社内教育資料などは、AIで下地を作るだけでも工数が削れます。一方で、強制的に使わせるだけでは反発も出ます。現場の困りごとと結び付かないと「やらされ感」になり、形だけのイベントで終わります。さらに、入力情報の扱いが曖昧だと情報漏えいにつながるため、最初にルールを決める必要があります。
 

経営者の視点

ポイントは“月1回の特別日”より、「普段の業務フローにAIを混ぜる」ことです。まず、AIで作ってよい成果物(社内向けのたたき台、メール下書きなど)と、慎重に扱う成果物(契約文書、対外的な数値資料など)を分けます。次に、AIを使った改善の成果を、時間削減や受注率などの指標で見える化します。小規模企業なら、たとえば「月末の請求作業をAIで手順化し、ミスを減らす」など、1テーマだけでも十分です。最後に、学びの共有の場を短時間で設計しましょう。たった10分の共有でも、ノウハウが社内に蓄積され、属人化を防げます。社内に“質問できる人”を1人決めておくのも効果的です。
 

参考リンク

GMOインターネットグループ: 「GMO AI Day」を制定
 

4. NTTデータ×デル・テクノロジーズが「プライベートAI」支援、機密データでも生成AIを使いやすく

概要

結論は、生成AI活用の壁になりやすい「機密情報の扱い」を越える動きです。NTTデータとデル・テクノロジーズは、企業のプライベートAI活用支援に関する包括提携の覚書を締結しました。企業が自社専用の閉じた環境で、安全にAIを利用できるAIプラットフォームサービスを共同で構築・提供するとしており、提供開始は2026年中旬を予定しています。デルのGPUサーバーやストレージなどを集約した「Dell AI Factory」と、NTTデータのAIモデルやAIエージェントなどを組み合わせ、インフラからアプリ環境まで一体で提供する設計です。公共・金融・法人分野の業界特化ユースケース拡充も掲げ、NTTデータは2027年度末までに国内累計売上高約300億円の達成目標も示しました。
 

中小企業への影響

中小企業でも「社内の顧客データを使ってAIを賢くしたい」「外部のクラウドに出せない情報がある」という場面は増えています。プライベートAIの選択肢が広がることで、たとえば医療・士業・製造の設計情報など、情報管理が厳しい業種でも生成AI導入を検討しやすくなります。特に、問い合わせ履歴やマニュアルを閉じた環境で検索・要約する仕組みは、現場の生産性に直結します。一方で、プライベートAIは“安全そう”に見えて、設計・運用を誤ると逆にリスクが増えます。権限管理、ログ監査、モデル更新、障害時の復旧など、運用の体力が必要です。
 

経営者の視点

まず、自社のデータを「外に出せる/出せない」「出すなら匿名化が必要」などに分類してください。この整理がないと、AIの方式(クラウド型/閉域型/オンプレ型)を選べません。次に、いきなり大規模投資ではなく、社内ナレッジ検索や問い合わせ一次回答など“閉じたデータで効果が出る”用途から始めるのが安全です。さらに、AIガバナンス(誰が何を入力し、誰が検証し、誰が責任を持つか)を決め、事故が起きた時の連絡フローまで用意します。中小企業の場合、全てを自前で抱え込むより、信頼できるパートナーと役割分担し、コストとリスクをコントロールする方が現実的です。
 

参考リンク

NTTデータ:企業のプライベートAI活用支援に関する包括提携に基本合意
 

5. 生成AIの不安は強いのに、規約確認は半数が未実施──LINEヤフー調査が示す「行動ギャップ」

概要

結論として、生成AIは“使うこと”より“安全に使い続けること”が経営課題になっています。LINEヤフーは、過去1年以内に生成AIを利用した1,056人を対象にした意識調査結果を公表しました。78.7%が生成AI利用時のセキュリティやプライバシーに不安を感じている一方で、52.0%が利用規約や注意書きを「確認しない/確認したことがない」と回答しています。さらに、入力データの漏えいを不安に感じる人は63.4%と最多で、誤った情報に気づかず使うこと(47.3%)や依存(46.2%)も上位に挙がりました。最終判断は人が行うべきだと考える人は95.1%に上り、理解は進んでいるのに、具体的行動が追いついていない実態が見えます。
 

中小企業への影響

中小企業ほど“現場の善意”でAIが使われがちで、ルールがないと事故が起きます。例えば、見積条件や顧客名をそのまま入力する、社外向け文章を出力のまま投稿する、といった行為は、情報漏えい・信用失墜につながります。また、規約を読まないまま利用すると、学習への利用可否や、ログ保存期間、責任範囲を誤解しやすいです。逆に言えば、最低限のルールと教育を整えるだけでリスクは大きく下げられます。調査結果が示すのは、専門知識よりも“当たり前の運用”が重要だということです。
 

経営者の視点

すぐできる対策は3つです。①入力禁止情報を決める(個人情報、契約条件、未公開の財務情報など)。②AIの出力は必ず人が検証する(数字・固有名詞・法律や契約に関わる表現は要注意)。③利用するツールを絞り、規約の要点を社内で共有する(1枚の簡易ガイドで十分です)。加えて、現場が困ったときに相談できる窓口を作り、ヒヤリとした事例を集めて更新していくと、運用が回り始めます。生成AIは“早く使う会社”が強い一方で、“安全に使い続ける会社”が最後に勝ちます。リスクを恐れて止まるのではなく、ルールを整えて前に進めましょう。
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まとめ

 
生成AIは「導入するか」ではなく、「どの業務で、どう安全に成果を出すか」の段階に入っています。価格の低下で試しやすくなる一方、規約確認や入力ルールが曖昧なままだと、情報漏えい・誤情報・信用低下につながります。
 
次の一手としては、(1)効果が出やすい業務を3つ選んで小さく試す、(2)入力禁止情報と最終チェックのルールを決める、(3)社内で学びを共有し、使い方を揃える、の順で進めるのがおすすめです。技術の話に見えて、勝負どころは“運用”です。自社の強みを伸ばす形で、無理なく前に進めていきましょう。

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