生成AIニュースまとめ(2026年1月19日〜1月25日)

生成AIニュースまとめ(2026年1月19日〜1月25日)

生成AI(ジェネレーティブAI)は、もはや一部の大企業だけの話ではありません。行政の窓口支援、外食の接客、国内のAIインフラ整備、会議の生産性改善、販促物づくりの効率化まで、実務に直結する動きが続いています。

中小企業経営者がこの期間に押さえておくべき重要なニュースは、①行政手続きの生成AI支援、②AIと人の協働による接客、省人化、③国内で安全に使えるAI基盤の拡充、④会議中に使えるAIアシスタントの日本語対応、⑤プロンプト不要で画像制作を進めやすくする企業向け機能強化、の5つです。自社の業務に置き換えながら、ポイントを分かりやすく解説します。

目次

1. 生成AIで行政手続きを支援、仙台市が外国人向けに実証実験

概要

仙台市は、外国人が行政手続きを理解しやすくするため、仙台市の制度情報を学習させた生成AIで支援する仕組みの実証実験を行いました。国民健康保険の手続きを題材に、分かりにくい言葉や手順をAIが補い、正確性や操作性を検証しています。実際に留学生が操作し、「知らないところをはっきり言ってくれる」「自分で検索して情報が出てくるのが良い」といった反応が紹介されました。さらに、担当課は「想定していた単語では検索されない」ことも分かり、学習データや表現の見直しが重要だと示唆しています。この取り組みは、仙台市と東北大学、民間企業が連携して設立した協議会に、放送局が事業提案する形で実現したとされています。また、東北大学が「国際卓越研究大学」に認定されたことを背景に、今後の外国人増加も見込み、行政サービス側の準備を進める狙いが語られています。

中小企業への影響

中小企業にとってのポイントは、外国人対応が“人手不足の穴埋め”ではなく、採用・定着・顧客対応の土台になることです。外国人採用が増えるほど、入社時の提出物、社会保険、税、住所変更などの説明が増えます。担当者が毎回調べて説明すると、時間もミスも増えがちです。行政側がAIで案内を整える動きは、企業が制度説明に費やすコストを下げ、多様な人材を受け入れやすくします。一方で、生成AIの回答は誤りが混ざる可能性があります。誤回答が原因で手続きが遅れると、本人だけでなく会社側にも影響します。AIの回答に「次に確認すべき窓口」「提出先」など、最終確認の導線があるかを見極める必要があります。また、手続きだけでなく、災害時の避難情報や子育て支援など、生活情報の理解が進めば、従業員の不安も減ります。これは欠勤や離職リスクの低減にもつながります。

経営者の視点

経営者としては、外国人対応を“担当者の経験頼み”にしないことが肝心です。まずは社内で繰り返し聞かれる質問を洗い出し、FAQとして整備しましょう。そのうえで、社内規程や公的資料に基づく回答だけを返す形のAIチャット(社内ポータルでも可)にすると、問い合わせが減り、対応品質も揃います。導入時は、①扱うテーマを入社手続きなど定型業務に限定する、②回答の根拠を必ず残す、③誤回答が起きたら学習データを更新する、の3点を決めると失敗しにくいです。こうした“仕組み化”は、採用力と定着率の底上げに直結します。加えて、個人情報の扱いは要注意です。氏名や住所などを入力させる前に、入力項目を最小限にし、ログの保存範囲を決めるなど、情報管理のルールを先に作ってください。

参考リンク

FNNプライムオンライン:外国人の行政手続きを生成AIで支援 仙台市が実証実験

2. モスバーガーがAIドライブスルー、AIと人の“ハイブリッド接客”で現実解へ

概要

モスバーガーは、AIが注文受付を担う「AIドライブスルー」の実証実験を開始しました。AIは注文を取るだけでなく、追加のおすすめを返すなど簡単な会話にも対応します。一方で、現時点では精度が課題として挙げられており、店員が同時に内容を聞いてレジ入力と注文確定を行う“AIと人のハイブリッド”運用を採用しています。海外ではAIドライブスルー導入後に精度やトラブル対応の難しさから撤退した例もあるため、人が補助する設計で現実的に回す狙いです。担当者は、全注文をAIだけで回すのは難しいとしつつ、将来的に“1人分”に近い負担軽減を目指し、まずは0.8人相当の省力化を狙う考えを示しています。実証は複数店舗に広げる計画で、精度向上に加え、声優の声で接客するなど体験価値の向上も視野に入れていると報じられました。

中小企業への影響

飲食や小売など、現場型の中小企業にとっては「省人化=人を減らす」よりも「ピークを乗り切る」「新人でも回せる」ことの価値が大きいです。ドライブスルーに限らず、電話注文、予約受付、簡単な問い合わせなど、同じ“音声の受付業務”は多くの業種にあります。AIで一次受付を行い、例外だけ人が対応すれば、熟練者の負担を減らし、機会損失(取りこぼし)を防げます。ただし、音声はノイズや方言、言い間違いが多く、誤認識はクレームにつながります。導入前に「AIが得意な範囲(定番商品・定型質問)」「人に切り替える条件(聞き返しが続く、特殊注文、怒り口調など)」を決め、現場が迷わない運用にすることが重要です。また、接客品質を均一化できる点も見逃せません。注文の聞き返しが減れば、スタッフの心理負担も軽くなり、離職防止にも効きます。

経営者の視点

経営者の視点では、AI導入を“システム投資”ではなく“サービス設計”として捉えるのがコツです。まずは注文や受付の全体フローを分解し、AIが担当できるのはどこかを見極めます。次に、導入効果を「待ち時間」「取りこぼし件数」「新人の立ち上がり期間」など、数字で測れる指標に落とし込みます。さらに、録音・ログを使って誤認識のパターンを集め、改善サイクルを回せる体制にすると成果が出やすいです。完全自動化を急がず、ハイブリッドで品質を守りながら効率化する。これが中小企業でも失敗しにくい進め方です。最後に、顧客がAI相手だと分かる表示や、録音・データ利用の案内も欠かせません。安心感があって初めて、テクノロジーは接客の武器になります。

参考リンク

FNNプライムオンライン:モスバーガーがAIドライブスルー導入 国内初・人手不足をカバー

3. KDDIが大阪堺でAIデータセンター稼働、国内で“安全に使う生成AI”が現実的に

概要

KDDIは「大阪堺データセンター」の稼働開始を発表しました。GPU(AI計算に強い半導体)を備えたAIデータセンターとして、Googleの生成AIモデル「Gemini」のオンプレミス(専用環境で使う形)利用などを提供し、製薬・製造をはじめ多分野のAI社会実装を後押しする狙いです。シャープ堺工場跡地の大規模な電力・冷却設備を再利用し、水冷技術やデータセンター構築の知見を活用して短期間で立ち上げた点も特徴とされています。発表では、再生可能エネルギー由来の電力を100%使用するとし、環境負荷にも配慮しています。また、大阪の主要な産業・商業エリアから距離が近く、低遅延で高信頼なAIサービス提供をうたっています。

中小企業への影響

中小企業の視点では「高度な計算環境を自社で持たなくてよい」ことが大きな意味を持ちます。生成AIを業務に入れたいと思っても、GPUサーバーの調達や運用は高コストで、専門人材も必要です。大手が整備するAIインフラが広がれば、必要な分だけ使える形でアクセスしやすくなります。さらに、このデータセンターは国内運用で、データの主権性(ソブリン性)に配慮した管理体制をうたっています。顧客情報や監視カメラ映像など、機密データを扱う企業ほど「海外へのデータ移転リスク」が不安材料になりがちですが、国内で保管・管理したままAIの学習や推論に使える選択肢が増えるのは追い風です。一方で、生成AIの利用料は“使い方次第で膨らむ”ため、目的と上限を決めずに始めるとコスト管理が難しくなります。加えて、取引先から「CO2削減」や「データ管理」を求められる企業にとって、インフラ側が環境配慮や管理体制を明示していることは、説明コストの削減にもなります。

経営者の視点

経営者としては、まず自社がAIに期待する成果を「時間短縮」か「売上貢献」かで分けて整理すると判断が早くなります。例えば、見積書作成や問い合わせ対応などは時間短縮型、需要予測や提案強化は売上貢献型です。前者は小さく試してすぐ効果が見えます。後者はデータ整備が先です。次に、データを外部に出せない業務があるなら、オンプレミスや国内運用の選択肢を前提に設計しましょう。最後に、社内ルール(入力してよい情報、ログの保管、権限管理)を整えたうえで、限定された業務から導入する。インフラが整ってきた今こそ、使い方の設計が差になります。導入検討では、社内にある機密データの種類(顧客・契約・映像・設計図など)を棚卸しし、どこまで外部に出せるかを先に決めておくと、サービス選定がぶれません。

参考リンク

KDDI News Room:大阪堺データセンターを1月22日から稼働開始

4. Google Meetの「Ask Gemini」が日本語対応へ、会議の生産性を一段上げるチャンス

概要

Googleは、オンライン会議サービス「Google Meet」で会議内容についてGeminiに質問できる「Ask Gemini」機能のアップデートを発表しました。窓の杜の報道によると、利用できるプランが拡大し、段階的にBusiness Standardでも使えるようになります。また、対応言語も広がり、2月上旬から日本語を含む複数言語に対応予定です。さらに、モバイルアプリでも会議中にGeminiを呼び出せるようになり、場所を選ばず要点確認や質問ができる方向性が示されています。記事では、対象プラン拡大が1月26日、言語拡大が2月2日、モバイル対応が2月9日として日程も示されています。また、会議中に複数言語を同時に扱うことはできず、会議の主言語に合わせて使う形になる点も説明されています。

中小企業への影響

中小企業にとっては、会議の“時間”と“議事録”が最も分かりやすい改善ポイントです。会議後に「結局、何が決まったのか」「宿題は誰のものか」が曖昧だと、手戻りが発生します。会議中にAIへ質問できれば、論点整理や確認が早くなり、議事録作成も省力化できます。特に少人数の会社ほど、議事録担当が固定されがちで負担が偏ります。AIが要点を整理してくれれば、担当の属人化を減らせます。一方で、会議には顧客情報や金額、未公開の企画が含まれます。便利さの反面、入力した内容がどのように扱われるかを理解せずに使うと情報管理の穴になります。利用前に、会議の種類ごとに「AIを使ってよい範囲」を決めることが重要です。営業商談や採用面接のように“後から振り返る価値が高い会議”ほど、効果は出やすいです。例えば、提案内容の要点をその場で確認し、次回までの宿題を即座に整理できれば、フォロー漏れを減らせます。

経営者の視点

経営者の視点では、導入効果を出すコツは“運用ルールの先出し”です。例えば、①会議の冒頭で目的と決定事項の形式を宣言する、②最後に宿題(担当・期限)を必ず言葉にする、③AIに頼む質問テンプレート(決定事項、未決事項、次のアクション)を決める、の3点だけでも会議品質が上がります。AIは万能ではなく、曖昧な会議ほど要約も曖昧になります。だからこそ、会議の型を整えた企業ほど、同じ機能でも成果が大きくなります。まずは社内定例などリスクが低い会議から試し、効果と注意点を言語化して横展開すると安心です。加えて、会議の録画・文字起こし設定、権限(誰がAI機能を使えるか)も合わせて見直すと、社内の不安を減らせます。

参考リンク

窓の杜:『Google Meet』のAsk Gemini機能が日本語に対応へ

5. 画像生成が“プロンプト不要”に近づく、JAPAN AIが企業向け機能を強化

概要

JAPAN AIは、企業向けAIプラットフォーム「JAPAN AI AGENT」で、4つの高性能な画像生成AIモデルに対応したと発表しました。ProductZineによると、OpenAIの最新モデル「GPT Image 1.5」を含み、用途に応じてモデルを使い分けられるのが特徴です。既存画像の修正に強いもの、イラスト表現が得意なもの、フォトリアルが得意なもの、文字を含む図解に強いものなど、得意分野が異なります。これにより、プロンプト(AIへの指示文)作成の専門スキルがなくても、モック素材や資料の挿絵などを短時間で作りやすくなるとされています。記事では、対応モデルとしてSeedream 4.5、FLUX.2 [max]、Nano Banana Proも挙げられています。また、同プラットフォームは画像生成だけでなく、社内ナレッジ検索(RAG:社内資料を検索して答える仕組み)やデータ分析など、企業のAI活用を統合的に支援する位置付けで、今後は広告バナーの自動作成機能も予定されているとしています。

中小企業への影響

中小企業では、デザイン担当がいない、外注すると費用と時間がかかる、という悩みがよくあります。画像生成AIが実務に近づくほど、SNS投稿用の画像、チラシのラフ、提案資料のイメージ図など、“まず形にする”スピードが上がります。特に新商品や新サービスの検討では、早くたたき台を作ることが意思決定を早めます。一方で、画像生成には著作権や商標、肖像権のリスクが伴います。似た作風になったり、ロゴに似た形が混ざったりすると、意図せず問題になる可能性があります。さらに、社外秘の製品図面や顧客情報を入力すると情報漏えいの懸念も出ます。便利さとリスクが表裏一体だからこそ、使いどころを決めることが重要です。たとえば、採用ページのイメージ画像や、展示会の告知素材など、短納期の制作に強くなります。

経営者の視点

経営者の視点では「生成→確認→公開」のチェック工程を最初から組み込むのが安全です。例えば、①外部公開する画像は必ず人が最終確認する、②商標・人物が入る場合は使用可否を別途確認する、③制作ログ(誰が何を作ったか)を残す、というルールだけでも事故は減ります。運用面では、まずは“ラフ作成”や“社内資料”などリスクが低い用途から始め、反応が良いものだけを外注仕上げに回すとコストも抑えられます。生成AIは「全部内製化」ではなく、「外注・内製の組み合わせ」を賢くする道具です。スピードを武器にしつつ、ブランドと法務の基本を守る。そのバランスが利益につながります。また、社内で“使ってよい素材”のルール(自社撮影写真、フリー素材、許諾済みロゴなど)を用意しておくと、現場が迷いません。

参考リンク

ProductZine:JAPAN AI AGENTで最新の画像生成モデル4種に対応

まとめ

生成AIは「すごい技術」の段階を超え、現場の“説明・受付・会議・制作”といった日常業務に入り込んできています。行政の案内支援は人材の多様化を後押しし、外食のハイブリッド運用は省力化と体験価値の両立を示しました。国内AIデータセンターの整備は、機密データを扱う企業にも選択肢を広げ、会議AIの日本語対応は意思決定を速めます。画像生成の企業利用が進めば、マーケティングのスピードも上がります。

大切なのは、いきなり全社導入しないことです。まずは次の3つだけ決めて、小さく試してください。

  • どの業務で使うか(定型の説明、受付、議事録、ラフ制作など)
  • 何を入力してよいか(個人情報・顧客情報・社外秘の扱い)
  • 成果を何で測るか(待ち時間、作業時間、手戻り、成約率など)

この3点が決まると、生成AIは“手間を減らす道具”から“利益を増やす仕組み”に変わります。次回も、国内外の動きを追いながら、中小企業での活かし方を噛み砕いてお届けします。

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