マーケティングニュースまとめ(2026年1月7日〜1月13日)

マーケティングニュースまとめ(2026年1月7日〜1月13日)

2026年1月7日〜1月13日に公開されたマーケティング関連ニュースでは、「広告費の競争」「小売データを使ったリテールメディア」「ステマ規制対応」「販促のAI活用」が特に目立ちました。中小企業経営者が押さえておくべき重要なニュースは、①広告・マーケティング予算の動きとロイヤルティ施策の重要性、②ドラッグストア領域で進むリテールメディアネットワーク拡大、③コンビニ公式アプリを活用した広告配信網の強化、④WOMJガイドライン改訂による表示ルールの明確化、⑤チラシ業務を支える販促AIの本格提供、の5つです。
本記事では、それぞれのニュースを「何が起きたか」だけでなく、「小規模企業にどう効くか」「経営判断で何を優先すべきか」に絞って、分かりやすく整理します。

目次

1. 広告・マーケ予算の増額ムード:勝負は「ロイヤルティ」と「ファンづくり」へ

概要

コムエクスポジアム・ジャパンが、同社主催のマーケティング関連カンファレンス参加企業の担当者を対象に実施したアンケート結果を公表しました(有効回答111)。広告・マーケティング予算については「増やす」と回答した企業が一定数あり、同水準を見込む企業も多いことが示されています。注力したい施策では「顧客ロイヤルティ向上」「ファンマーケティング」「オウンドメディアの充実・強化」などが上位に入りました。加えて、マーケティングにおけるAI導入・活用状況も初めて調査され、「活用または準備している」と回答した企業が多数派でした。

中小企業への影響

中小企業にとってのポイントは、「広告枠の競争が強まりやすい」ことです。大手が予算を積み増すと、同じ配信面でも入札が上がり、クリック単価やCPA(1件獲得にかかるコスト)が上がる場面が出てきます。広告だけに依存した集客は、数字がブレるほど資金繰りや人員計画が難しくなります。特にBtoBの商談型ビジネスでは、1件の獲得単価が上がるだけで、月の損益が簡単に反転します。
一方で、ロイヤルティ(指名して選ばれる度合い)やファンづくりは、予算規模が小さくても勝ち筋を作れます。既存顧客へのフォロー、購入後の使い方コンテンツ、レビュー依頼、紹介制度、コミュニティ運営などは、広告費よりも「継続的な設計」と「小さな改善」で成果が積み上がります。AIも、文章のたたき台作成、FAQ整備、競合調査の整理、提案書の下書きなど“少人数でも回る仕組み”に向いています。

経営者の視点

経営者としては、広告費の増減より先に「勝ちパターンの再定義」を行うのが得策です。具体的には、①新規獲得のKPIだけでなく、②リピート率・紹介率・解約率・顧客単価(LTVの要素)を経営ダッシュボードに入れ、③オウンドメディアやメール、LINEなど“自社で管理できる接点”を増やします。
加えて、AI活用は「社内ルール」とセットで進めると失敗しにくいです。公開前の文章チェック、機密情報の扱い、最終判断は人が行う、の3点を決めるだけでも十分です。そのうえで、広告は“短期の売上”だけを追わず、“将来の指名検索や再購入”につながるメッセージに寄せると、単価上昇局面でもブレにくくなります。小規模でも始められるところから、ロイヤルティ施策を一つ決め、90日単位で仮説→実行→検証を回していきましょう。

参考リンク

FNNプライムオンライン:2026年に広告・マーケティング予算を増加予定の企業は38.5%(PR TIMES提供)

2. ツルハHDが「AOUMI」参画:ドラッグストアの購買データ活用が一段と進む

概要

カタリナマーケティングジャパンが提供するリテールメディアネットワーク「AOUMI」に、ツルハホールディングスの全事業会社が参画すると発表されました。調剤専門店など一部を除くグループ店舗で、AOUMIのマーケティングソリューションが展開されます。新たに加わったのはツルハ、レデイ薬局、杏林堂薬局で、すでに参画済みの会社と合わせてドラッグストア領域のカバーが広がる形です。これにより、カタリナネットワークが捉えるドラッグストア市場のカバー率は40%超規模になったとされています。

中小企業への影響

リテールメディアとは、スーパーやドラッグストアなど“小売が持つデータと接点(店頭・アプリ等)”を広告媒体として活用する考え方です。中小企業、とくにメーカーや地域商材にとっては、テレビCMや大規模Web広告よりも「買う直前の人」に届きやすいのが魅力です。ドラッグストアは日用品・化粧品・健康関連など購買頻度が高く、トライアル(試し買い)を促す施策と相性が良いです。例えば、新商品の認知を店頭・アプリで作り、クーポンで初回購入を後押しし、購買データでリピートの兆しまで追えるようになります。
一方で注意点もあります。購買データを使った広告は“刺さる”ぶん、商品価値が弱いと価格勝負になりやすく、短期の割引だけを繰り返すと利益が削れます。また、配信面が増えるほど運用が複雑になり、社内に担当者がいないと放置されがちです。小売側のルール(掲載可否、クリエイティブ審査、クーポン設計)もあるため、事前に体制と意思決定の速度が問われます。

経営者の視点

経営者としては、リテールメディアを「販促の近道」と捉えるより、“売場と広告を一体で設計する仕組み”と考えるのが現実的です。具体的には、①売れる店舗・時間帯・購入者層の仮説を立て、②小さな予算でテストし、③店頭施策(棚、POP、同時購入提案)と連動させ、④テスト結果から「続ける型」を決めます。
さらに重要なのは、施策の目的を一本に絞ることです。「新規購入」「リピート」「まとめ買い」のどれを狙うかで、クーポン設計も訴求も変わります。小規模企業ほど“やることを増やす”より“勝てる一点を深掘りする”ほうが成果が出ます。自社の商品がドラッグストアで買われる理由を短い一文で言えるか、まずはそこから見直してみてください。

参考リンク

MarkeZine:ツルハホールディングスの全事業会社、リテールメディアネットワーク「AOUMI」に参画

3. ミニストップアプリが「ARUTANA」参画:公式アプリ広告が“試せる”時代に近づく

概要

DearOneが提供するリテールメディアプラットフォーム「ARUTANA」に、ミニストップが提供する「ミニストップアプリ」が新たな広告配信先として加わると発表されました。ミニストップは国内に1,760店舗(2025年12月末時点)を展開し、アプリの累計ダウンロードは320万件超とされています。ARUTANAは、複数の流通・小売企業の公式アプリに横断的に広告を配信できる仕組みで、広告主は一括出稿で複数アプリへ届けられる点が特徴です。ミニストップ側は、店頭デジタルサイネージなどの取り組みに加え、アプリというタッチポイントを拡充してリテールメディアを強化する狙いです。

中小企業への影響

中小企業にとって、この動きは「アプリ広告が“選べる選択肢”になってきた」ことを意味します。これまで小売アプリへの出稿は、個別交渉や運用の手間がハードルでした。しかしネットワーク型の仕組みが広がると、広告の出し先をまとめて管理でき、少額からテストしやすくなります。さらに、リテール公式アプリは店舗内で起動される比率が高いとされ、購買意欲が高いタイミングで接点を作れるのも強みです。
特に、食品・日用品・地域商材など“来店や衝動買い”が起きやすい商材では、アプリ内のクーポンや特集枠と組み合わせることで、Web広告よりも購買に近いところで勝負できます。反対に、BtoBや高額商材は、いきなり購入につながりにくいので、認知・想起づくりを目的にした設計が必要です。配信面が増えるほど、クリエイティブ審査や運用ルールの把握も重要になります。

経営者の視点

経営者として押さえたいのは、リテールアプリ広告は「配信すれば売れる魔法」ではなく、“購買行動の文脈”に合わせた訴求が必須という点です。例えば、コンビニでは「今すぐ」「手軽」「ついで買い」が強いので、訴求は一つに絞り、価格・利用シーン・ベネフィットを短く伝えるのが向いています。
また、評価方法も重要です。クリック数だけで判断すると誤ります。クーポン利用、対象店舗の販売数量、併買(ついで買い)の変化など、購買に近い指標を先に決めてからテストしましょう。テストの結果が良ければ、季節や天候、時間帯に合わせて“勝てる型”を増やす。これが小規模でも再現できる現実的な進め方です。まずは1商品1訴求で始めると、改善点が見えやすいです。

参考リンク

PR TIMES:『ミニストップアプリ』がリテールメディアプラットフォーム『ARUTANA』に参画(DearOne)

4. WOMJガイドライン改訂:社員投稿・長尺動画・二次利用まで「ステマ対策」を実務化

概要

クチコミマーケティング協会(WOMJ)が、クチコミマーケティングに関する「WOMJガイドライン」とFAQを改訂し、2026年1月7日から施行すると発表しました。背景には、景品表示法に基づくステルスマーケティング(ステマ)規制の告示やFAQの内容があり、法律と実務に合わせて運用しやすい形に再整理したとしています。改訂の主なポイントは大きく3つです。
1つ目は、企業の社員が自社商品について発信する場合、単に所属を示すだけでは不十分で、宣伝であることが明瞭に伝わる文言やタグを併せて記載すべきこと。2つ目は、長時間動画では途中から見た人にも分かるよう、動画内で継続的に「広告」などを表示するなど、関係性の明示を強化すること。3つ目は、インフルエンサー等に依頼した投稿を二次利用する際、関係性表示を外すと法的リスクが高まるため、注記などで明瞭に示す対応を推奨することです。

中小企業への影響

中小企業ほど「知らずに踏む地雷」になりやすいテーマです。少人数の会社では、社長や社員がSNSで発信する場面が多く、良かれと思って商品の紹介をするときに、関係性表示が曖昧になりがちです。ステマ規制は、やり方次第で“広告だと分かりにくい表示”と受け取られ、信用を落とすリスクがあります。
また、口コミやレビューを自社サイトに転載する施策も一般化していますが、改訂FAQでは「好意的な意見だけを恣意的に抽出しているのに、そのことが分かりにくい表示」は問題になり得ると示されています。実務としては、①投稿者との関係性、②引用のルール、③表示の位置(見落とされない場所)をセットで設計する必要があります。長尺動画の継続表示は、YouTubeやライブ配信を活用する事業者にとって特に重要です。

経営者の視点

経営者がやるべきことはシンプルです。「広告・宣伝・PRであることが一目で分かる表示」を社内ルールとして決め、運用を標準化します。たとえば、社員投稿のテンプレ(例:『自社商品の紹介です』『#PR』を必ず入れる)、提供品がある場合の記載、ライブ配信での常時表示のやり方まで、チェックリスト化しておくと事故が減ります。
さらに、外部のインフルエンサーを使う場合は、投稿内容だけでなく“二次利用(自社のLPや広告での転載)”まで契約と運用に入れてください。表示を外さない、文脈を変えて切り取らない、許諾を取る。これらを徹底すると、法令順守だけでなくブランドの信頼も守れます。

参考リンク

共同通信PRワイヤー:クチコミマーケティングに関する『WOMJガイドライン』およびFAQを改訂

5. チラシ×AIで販促を標準化:Shufoo!AIが本格提供、企画〜検証のスピードが上がる

概要

TOPPANグループのONE COMPATHが、販促支援AIツール「Shufoo!AI」の本格提供を開始したと発表しました。電子チラシサービス「Shufoo!」に蓄積された全国365日のチラシデータと、約1,100万人規模の購買行動データを基盤に、販促の企画から制作、効果検証までをデータドリブンに支援する狙いです。2025年10月に提供していたβ版から機能を拡充し、有償提供に移行します。主な追加機能として、販促の疑問に答えるAIチャットボット、キーワードやテーマから過去のチラシ画像を検索する機能、公開前チラシをアップロードして5段階で評価する機能などが紹介されています。

中小企業への影響

販促は「経験者がいないと回らない」になりやすい領域です。特に小規模の小売・メーカーでは、担当者の勘と過去の成功体験に寄りがちで、引き継ぎが難しく、施策の質がブレます。Shufoo!AIのように“過去の膨大な実績データ”を土台にした支援が普及すると、企画のスピードが上がり、誰でも一定水準の打ち手を作りやすくなります。価格調査や過去事例探しの手間が減るだけでも、現場の負担は大きく下がります。
一方で、AIは万能ではありません。データに基づく提案は平均点を取りやすい反面、地域性や自社の強み(接客、品揃え、ストーリー)まで自動で表現してくれるわけではありません。AIの提案をそのまま採用すると、同質化して埋もれるリスクもあります。大切なのは「AIで作業を短縮し、人が価値を作る」役割分担です。

経営者の視点

経営者としては、AI導入を“ツール導入”で終わらせず、販促の業務プロセスを整える機会にしてください。おすすめは、①毎回の販促テーマを決める会議を短くし、②AIで過去施策や市場価格を素早く当たり、③訴求を1つに絞って制作し、④実績(売上・粗利・来店・在庫)で振り返る、という流れを型にすることです。
さらに、評価は「チラシを出したか」ではなく「狙った行動が起きたか」で見ます。たとえば“新規の来店”を狙うなら目玉商品の入口設計、“まとめ買い”を狙うならセット提案、と目的に応じて打ち手を分けます。AIチャットボットに質問する項目も、目的別にテンプレ化すると学習が早いです。少人数でも回る販促の仕組みを作れば、利益が残るマーケティングに近づきます。

参考リンク

MarkeZine:ONE COMPATH、『Shufoo!AI』本格提供を開始 販促業務をAIで支援

まとめ

今回取り上げた5本のニュースから見えるのは、マーケティングが「広告で集める」だけでなく、購買データを活かして“買う瞬間”を設計し、継続購入と信頼を積み上げる方向に進んでいることです。同時に、ステマ規制対応のように“見せ方のルール”も厳密になり、運用の雑さがそのまま信用リスクになります。
中小企業が取るべき行動は、難しくありません。

  • 広告に頼り切らず、既存顧客のロイヤルティを高める施策を1つ決めて回す
  • リテールメディアは小さくテストし、売場・クーポン・訴求をセットで改善する
  • SNS投稿や口コミ活用は、関係性表示・二次利用ルールをチェックリスト化する
  • AIは“作業短縮”に使い、浮いた時間で差別化ポイント(価値・体験)を磨く
    この4点を押さえるだけで、施策の精度と再現性が上がります。次の更新でも、意思決定に使えるニュースを厳選してお届けします。
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