生成AIニュースまとめ(2026年1月5日〜1月11日)

生成AIニュースまとめ(2026年1月5日〜1月11日)

生成AI分野では、「作る(画像)」「探す(社内文書)」「話す(面談)」「動かす(ロボット)」の4領域で実務に直結する動きが続きました。中小企業経営者が押さえておくべき重要なニュースは、①画像生成の実務化(GMO、Microsoft)②図表入り文書を読める社内向けAI(リコー)③対話業務の標準化(NTTデータ関西×自治体)④現場で動くAI=フィジカルAI(NVIDIA)です。
「便利そう」で終わらせず、業務の型に落とし込めるかが差になります。

目次

1. GMO「天秤AI」に画像生成機能 最大3モデルで同時生成

概要

GMOインターネットグループは、複数の生成AIを同時に使える「天秤AI byGMO」および法人向け「天秤AI Biz byGMO」で、画像生成AIサービスの提供を開始しました。最大3つの画像生成モデルに同じ指示を出し、結果を横並びで比較できます。これまで同サービスは、テキスト生成で多数のLLMを比較できるのが特徴でしたが、画像も同じ画面で扱えるようになり、企画→文章→画像制作までを一気通貫で進めやすくなります。記事では、利用できるモデルとして「GPT image」「GPT image mini」「Nano Banana」「Nano Banana Pro」「Imagen4」を挙げています。画像生成は「天秤AI plus」「天秤AI Biz」の対象で、無料プランでは利用できません。

中小企業への影響

中小企業では「デザイン担当がいない」「外注すると時間も費用も読めない」ことがよくあります。画像生成が社内で回せると、例えば次のような作業が早くなります。
・SNS投稿用の告知画像(文字入りの簡単なビジュアル)
・展示会やセミナーのチラシのたたき台
・提案書や社内マニュアルの図解、アイコン
さらに、複数モデルの出力を同時に比べられるので、担当者の好みだけでなく「伝わりやすさ」「自社らしさ」で選びやすい点が利点です。少人数チームでも“比較→選定→微修正”の流れが作れるため、制作の属人化を減らせます。
一方で、生成画像は著作権・商標・肖像権の確認が欠かせません。実在の人物や他社ブランドを想起させる表現が混じることもあります。公開前に“チェック項目”を決め、社内で必ず確認する運用が必要です。

経営者の視点

導入で失敗しやすいのは「便利そうだから全員が自由に使う」状態です。最初は、①マーケティング、②採用、③営業資料のいずれかに範囲を絞り、14〜30日程度で小さな成果を出しましょう。KPIは“制作にかかった時間”“外注費の削減額”“修正回数”が分かりやすいです。
併せて、社内ルールとして「生成物はそのまま公開しない」「ロゴ・人物・商品写真は扱いを分ける」「プロンプトは共有フォルダに残す」の3点を決めると、品質が安定します。天秤AI Bizのように組織管理・セキュリティ機能があるサービスは、権限設計にも向きます。ツールそのものより、運用設計が競争力になります。

参考リンク

Impress Watch:GMO「天秤AI」に画像生成機能 最大3モデルで同時生成

2. NVIDIA、フィジカルAI向けモデル群を発表 「ChatGPT的転換点」

概要

NVIDIAは、米ラスベガスで開催中の「CES 2026」で、ロボットや自律機械向けの“フィジカルAI”に関するオープンモデル群やフレームワーク、AIインフラを発表しました。会場では複数のパートナー企業が、NVIDIAの技術を活用したAI駆動ロボットを披露し、同社CEOは「ロボティクスにとってのChatGPTの瞬間が到来した」と述べています。発表には、物理ベースの合成データ生成・評価を行う「Cosmos Transfer 2.5」「Cosmos Predict 2.5」、視覚と言語で物理世界を理解する「Cosmos Reason 2」、ヒューマノイド向けの視覚言語行動モデル「Isaac GR00T N1.6」などが含まれます。さらに、シミュレーション評価基盤「Isaac Lab-Arena」や、開発パイプラインを支えるクラウドネイティブ基盤「OSMO」も示されました。

中小企業への影響

この動きは「AIが画面の中だけの道具ではなく、現場で動く仕組みになる」ことを意味します。中小企業にとって身近なのは、製造・物流・点検・接客などの省人化ニーズです。汎用ロボットが現実味を帯びると、現場の改善テーマが変わります。例えば、単純作業の自動化だけでなく、作業手順のばらつきを減らす、危険作業を置き換える、夜間・休日の対応を補助する、といった効果が期待できます。
一方で、ロボット導入は初期投資が大きく、安全性や保守体制も不可欠です。AIモデルが高度化しても「現場のデータ整備」「運用の責任範囲」「止め方(フェイルセーフ)」が曖昧だと、コストだけが増えるリスクがあります。

経営者の視点

経営者としては、すぐにロボットを買うより「自社の業務を、ロボットが扱える形に標準化する」準備が先です。具体的には、①作業手順の棚卸し、②例外処理の洗い出し、③安全ルールの明文化の3つを進めると、将来の選択肢が広がります。
また、フィジカルAIは“試作→シミュレーション→現場検証”のサイクルが重要です。小規模でも、デジタルツインやシミュレーションで改善案を比較できる体制を作ると、投資判断の精度が上がります。技術トレンドを追うだけでなく、現場の課題を「自動化できる単位」に分解することが、利益につながります。

参考リンク

Impress Watch:NVIDIA、フィジカルAI向けモデル群を発表 「ChatGPT的転換点」

3. 「Microsoft 365 Copilot」の画像生成モデルが「GPT-4o」から「GPT-Image-1.5」に

概要

「Microsoft 365 Copilot」で使われる画像生成モデルが、「GPT-4o」から「GPT-Image-1.5」へ順次置き換えられると報じられました。Web、デスクトップ(Windows/Mac)、モバイル(iOS/Android)で2025年12月下旬からロールアウトが進んでおり、2026年1月下旬までにグローバル展開が完了する予定です。GPT-Image-1.5は、ライティング(光の当たり方)や構図、人物の見た目などの要素を保ったまま、意図に沿った生成・編集がしやすい点が特徴で、視覚的な忠実度や速度の改善も期待されています。Copilot Chatや、Microsoft 365 Copilotアプリの「作成(Create)」などから利用できます。

中小企業への影響

Microsoft 365は中小企業でも利用率が高く、「いつもの業務ツールの中で画像が作れる」こと自体が大きな変化です。PowerPointの提案資料、Wordの社内マニュアル、メールの告知文など、文章と画像を同じ流れで用意できると、資料作りのスピードが上がります。外注や素材サイトに頼る場面が減り、少人数でも“伝わる資料”を作りやすくなります。
ただし便利になるほど、社内で画像が増え、品質がばらつきやすくなります。情報漏えいの観点では、機密情報を含む指示や画像を不用意に入力しないルールが必要です。また、生成画像は「それっぽく見える誤り」も起こり得るため、数字や地図、製品仕様など正確性が必要な図は必ず確認が要ります。用途によっては、社外公開前の承認(上長レビュー)を標準化すると安心です。

経営者の視点

まずは“誰が何の目的で使うか”を決め、テンプレとチェック体制を作ると失敗しません。おすすめは、①営業資料の表紙・挿絵、②採用向けの社風紹介画像、③社内研修資料の図解の3領域から始めることです。利用履歴の管理や、成果物の保存場所を決めておくと、ノウハウが資産になります。
Copilotは導入済みでも「使いこなし」が壁になりがちです。短時間の社内勉強会で、良い指示例(プロンプト)とNG例(機密・個人情報)を共有し、作成ルール(ファイル命名、版管理、承認)まで揃えると定着します。ツール更新を“現場の改善”に変えられるかが勝負どころです。

参考リンク

窓の杜:「Microsoft 365 Copilot」の画像生成モデルが「GPT-4o」から「GPT-Image-1.5」に

4. 東京都北区と面談業務を効率化する生成AI実証を開始 「AiBou」を活用

概要

NTTデータ関西は東京都北区と協定を結び、生成AIを活用した面談支援アプリ「スマート面談AIナビ AiBou」を使う実証実験を2026年1月7日から開始しました。対象は生活福祉課と保健サービス課の面談業務で、聞き取り精度の向上と、記録作成に要する事務作業時間の削減効果を検証します。実施期間は2026年1月7日〜6月30日です。北区では、令和7年度から全職員が生成AIツールを利用できる環境を整え、DXを推進しており、その流れの中で面談業務の課題解決を狙います。AiBouは面談内容をリアルタイムに理解し、必要な情報を過不足なく引き出す“質問支援”を行うほか、音声の自動文字起こしや報告書作成支援により、メモ整理や手入力作業の削減を狙います。

中小企業への影響

一見すると自治体の話ですが、ポイントは「現場の対話をAIが支える」ことです。中小企業でも、営業ヒアリング、顧客サポート、採用面接、1on1など“会話から価値が生まれる業務”が多いはずです。会話の質は担当者の経験に左右されやすく、聞き漏れや記録ミスが起きると、後工程(提案・契約・引き継ぎ)で手戻りが増えます。AiBouの説明では、訪問面談・窓口対応・電話相談など多様な場面で活用可能とされており、同じ考え方は民間にも展開できます。仕組みが整うと、
・ヒアリング項目の抜け漏れを減らす
・議事録や報告書の作成時間を短縮する
・ノウハウを標準化して新人を早く戦力化する
といった効果が現実的になります。
一方で、音声データは個人情報の塊です。録音の同意、保管期間、アクセス権、外部送信の有無など、守るべきルールが増えます。AIが要約を間違える可能性もあるため、重要事項は人が最終確認する前提が必要です。

経営者の視点

取り入れるなら、まずは“録音しても問題が少ない場面”から始めるのが安全です。例えば、社内面談(人事や引き継ぎ)や、顧客と事前に同意が取れるオンライン商談などです。次に、面談で必ず聞くべき項目をテンプレ化し、AIの質問支援に載せることで、担当者ごとの差を減らせます。
効果測定は「面談後の記録作成にかかる時間」「聞き直しの回数」「引き継ぎの手戻り件数」が分かりやすい指標です。生成AIは“便利さ”より“業務の品質を上げる仕組み化”に向いています。対話業務を資産に変える発想が、次の成長に直結します。

参考リンク

NTTデータ関西:東京都北区と面談業務を効率化する生成AI実証を開始~「AiBou」を活用~

5. リコー、図表入り文書に強いマルチモーダルLLMを開発 オンプレ提供も視野

概要

リコーは、「Qwen2.5-VL-32B-Instruct」をベースに、日本企業の図表を含む文書の読み取りに対応したマルチモーダル大規模言語モデル(LMM)を開発したと発表しました。文字だけでなく、円グラフ・棒グラフ・フローチャートなど“資料にありがちな図”を理解して質問に答えることを狙っています。開発では、ビジネス文書で使われる視覚データ約60万枚をチューニングデータとして用い、評価には日本語の質問応答データセット「JDocQA」などのベンチマークも活用しています。サービング環境の構築を容易にし、よりコンパクトで高性能なモデルを目指したとし、4bit量子化モデルも提供します。今後は「RICOH オンプレLLMスターターキット」への搭載も予定されています。

中小企業への影響

中小企業の情報は、PDFの見積書、請求書、手順書、製品カタログ、会議資料など“図表入りの文書”に多く眠っています。一般的なテキスト検索だけでは意図した資料が見つからず、探す時間が積み重なりがちです。図表も読めるLMMが普及すると、
・過去の提案資料から類似案件を探す
・品質基準や作業手順の確認を早くする
・IR資料や市場資料の図から要点を抜き出す
といった作業が短縮されます。さらにオンプレ(社内サーバー)で扱える選択肢が増えると、機密性の高い社内文書でも活用しやすくなります。
一方で、AIが文書を理解するには、文書の保管場所が整理され、アクセス権が適切に設定されていることが前提です。古い版の資料が混在すると、AIが誤った根拠で回答するリスクも高まります。

経営者の視点

このニュースが示すのは、「生成AIはチャットだけでなく、社内知識の使い方そのものを変える」という流れです。経営者はまず、社内で“探す時間”が多い領域を特定しましょう。例えば、①見積・提案のテンプレ、②作業標準・品質基準、③FAQ・問い合わせ履歴です。次に、最新版管理(版数・更新日)と権限設計を整え、AIに渡すデータの品質を上げます。
導入効果は「検索にかかる時間」「問い合わせの一次回答率」「新人の立ち上がり期間」で測れます。モデルが高性能でも、データが散らかっていると成果は出ません。生成AI投資を“情報整理の投資”とセットで考えることが、堅実な勝ち筋です。

参考リンク

リコー:リコー、「Qwen2.5-VL-32B-Instruct」ベースのマルチモーダルLLMを開発

まとめ

2026年1月5日〜1月11日の動きを振り返ると、生成AIは「文章を書く道具」から、画像制作・社内文書活用・対話業務・現場の自動化へと、使いどころが一気に広がっています。中小企業にとって大切なのは、流行を追うことではなく、利益につながる業務にだけ絞って、型を作ることです。

おすすめの進め方は次の3ステップです。

  1. 使いどころを1〜3業務に絞る(広報、営業資料、問い合わせ対応など)
  2. 成果を数字で測る(時間、外注費、手戻り件数)
  3. ルールを先に決める(機密情報、著作権、承認フロー、データ管理)

生成AIは、導入そのものより「運用の設計」で差が出ます。小さく始めて、うまくいった型を横展開する。これが、無理なく成果を積み上げる現実的な道筋です。

目次