マーケティングニュースまとめ(2025年12月31日〜1月6日)

マーケティングニュースまとめ(2025年12月31日〜1月6日)

2025年12月31日から2026年1月6日までの期間は、集客や売上づくりの前提が変わる動きが目立ちました。中小企業経営者が押さえておくべき重要ニュースは、①生成AIで検索広告の設計が変わる、②検索のゼロクリック化が進む、③大手が“オムニチャネル×店頭”に再投資する、④購買データ基盤がさらに強化される、⑤コンビニが“人×データ”でメディア化する――の5つです。
この記事では、それぞれのポイントを「中小企業への影響」と「経営者の打ち手」まで噛み砕いて整理します。

目次

1. 生成AIで検索広告の設計を変える「CA-GAS」提供開始

概要

サイバーエージェントは、検索する人の「意図(インテント=何を解決したいか)」が多様化している状況に合わせ、生成AIを使った新しい検索連動型広告の設計方法「CA-GAS」を開発し、提供を始めました。発表によると、従来は「キーワード」を軸に広告グループを作るのが基本でしたが、CA-GASは“クリエイティブ起点”で広告グループを組み立て、意図ごとに最適化していく考え方です。LP(ランディングページ)を生成する仕組みや、検索キーワードに対して広告文を自動生成する仕組みを組み合わせ、ユーザーの文脈に合わせた出し分けを狙います。先行試験ではコンバージョン(CV=最終成果)が約1.34倍に改善したとしています。「意図理解」と「文章生成」を広告運用に持ち込んだ点が特徴です。

中小企業への影響

中小企業にとってのポイントは、検索広告が「キーワードを当てるゲーム」から「意図に刺さる提案を量と質で用意するゲーム」に変わってきたことです。検索結果には比較・検討・口コミ確認など複数の目的が混在します。同じ商品でも“迷いの段階”が違えば響く訴求は変わります。たとえば「価格」検索には料金の根拠、「比較」検索には違いの表、「失敗」検索には返金や保証が効きます。意図別に広告文やLPを作り分けるほど、少ない予算でも無駄打ちを減らせます。反対に、意図が曖昧なまま量産すると、訴求が薄くなりクリックだけ増えて成果が伸びないことも起きます。社内に制作体制がない場合でも、商品説明・FAQ・事例の素材を整理し、テンプレート化しておくと、外注やツール活用でも品質を保ちやすくなります。

経営者の視点

経営者としては、まず自社の検索広告を「意図」で棚卸しするのが近道です。最初から大量生成を狙わず、上位3〜5意図だけに絞ると失敗しにくいです。具体的には「価格を知りたい」「比較したい」「実績を見たい」「すぐ問い合わせたい」などに分け、各意図に対して“最短で不安が消える”広告文とLPを1本ずつ作ります。運用面では、①コンバージョン計測の設定(電話や来店も含める)、②意図別の成果比較、③勝ちパターンの横展開、の順で回すと整理しやすいです。AI生成を使う場合でも、NG表現・必ず入れる根拠・トーンをガイドライン化しておけば、スピードと信頼の両立がしやすくなります。
また、広告は景品表示法などの観点でもチェックが必要です。生成文をそのまま出すのではなく、根拠のある表現だけに絞り、レビューの仕組みを作っておくと安心です。

参考リンク

Web担当者Forum:サイバーエージェントが「生成AI」を活用した検索連動型広告の新手法を開発 「検索意図」に応じた広告配信を実現

2. 「ゼロクリック検索」が広がり、SEOのゴールが変わる

概要

サイバーエージェントの「GEO Lab.」は、Google検索のAI要約機能「AI Overviews(AIによる概要)」の利用実態を調査し、検索結果を見ただけで行動を終える“ゼロクリック検索”が広がっていると報告しました。全国の10代〜60代9,278人の回答では、AI Overviewsや検索結果ページの情報だけで検索行動を終えることが「時々〜よくある」と答えた人が全体で63.2%にのぼり、10代では7割を超えています。さらにAI Overviews上のリンクをクリックする人も一定数おり、検索の「入口」と「出口」が従来より複雑になってきたことが読み取れます。調査では、AI Overviewsの表示率が時期によって増減していることも示され、検索結果の仕様が固定ではない点も注意材料です。

中小企業への影響

中小企業にとっての痛い点は、SEOで上位を取っても“クリックが発生しない”場面が増えることです。とくに「意味を知りたい」「手順を知りたい」など、答えが短くまとまる検索ほどゼロクリック化しやすいです。一方でチャンスもあります。AI Overviewsは参照リンクを表示するため、AI回答に「引用される側」になれれば、新しい流入経路になります。これからは、検索からの集客を「アクセス数」だけで判断せず、指名検索(社名・商品名)や問い合わせの質まで含めて見直す必要があります。
逆に言えば、検索結果の変化に合わせて“見せ方”を変えられる会社が伸びます。店舗型やBtoBでも同じで、検索で答えが出てしまう部分は「比較される前提」で情報を整えることが重要です。

経営者の視点

経営者の視点では、SEO施策を次の3つに分けて考えると整理しやすいです。①“答えが短い”テーマは、結論を先に書き、箇条書きや表で一目で分かるページにする。②“比較・選定”テーマは、事例・数字・体験談など一次情報を増やし、AIが要約しても「詳しく読みたい」と思わせる材料を入れる。③“信頼”テーマは、会社情報・実績・担当者の顔・よくある質問を揃え、問い合わせ前の不安を潰す。さらに、検索に依存しすぎないために、メール・SNS・既存顧客へのフォローなど“再来訪”の導線を必ず作っておきましょう。
具体的には、ページの冒頭に要点(誰の悩みをどう解決できるか)を置き、見出しに質問形を使い、本文で根拠や手順を補足します。加えて、検索経由の評価指標を「順位」だけでなく、表示回数・指名検索・資料請求率など複数で追い、落ちたときに原因を切り分けられる状態にしてください。

参考リンク

Web担当者Forum:「ゼロクリック検索」が当たり前に? 生成AIで変わる検索行動の最新調査

3. 電通プロモーションが4社統合で営業開始、店頭×データを強化

概要

電通プロモーションは、電通グループ4社の統合による新体制で営業を開始しました。発表では、CXM(Customer Experience Management=顧客体験の管理)を軸に、顧客体験とビジネス成果をつなぐ「統合型プロモーション会社」を掲げています。中核に据えるのは「オムニチャネル・プロダクション」と「リテール・アクティベーション」で、AIやデータを活用して接点ごとに最適なコンテンツを作り、店頭施策を強化しながら購買行動を促進する方針です。投資対効果(mROI)の最大化にも言及しており、“作って終わり”ではなく検証まで含めた支援を打ち出しています。
ここでいうオムニチャネルは、Web、アプリ、SNS、イベント、紙の販促物など“接点の種類”をまたいで一貫した体験を作ることです。リテール・アクティベーションは、店頭の棚・サイネージ・販促など「売場で動かす」ための設計を指します。

中小企業への影響

このニュースが示す潮流は、広告が「配信」だけの勝負ではなくなったことです。SNS広告や検索広告で認知を取っても、最終的に売れるのは店頭・EC・営業現場などの体験が整っている会社です。大手が“リテール(売場)”に力を入れるのは、購買に近い場所ほど成果が出やすいからです。中小企業でも同じで、オンライン施策だけを磨くより、購入・問い合わせの直前に触れる情報(料金、在庫、納期、保証、事例、比較表)を整える方が効くケースが多いです。一方で、施策が多チャネル化すると、担当者の負荷とコスト管理が難しくなります。
たとえば店舗型なら、SNSで見た内容が店頭POPやスタッフの説明とつながっているか、ECなら、広告の訴求が商品ページの冒頭と一致しているか、営業型なら、広告で約束した価値が提案資料で再確認できるか、といった“つながり”が成果を左右します。

経営者の視点

経営者としては、「顧客体験を設計して、数字で回す」発想に切り替えるのが現実的です。まず、顧客が購入前にたどる道筋(知る→比べる→相談→購入→継続)を紙1枚に描き、各段階で“次に知りたいこと”を埋めます。次に、チャネルを増やす前に、共通で使える素材を作ります。例:強み3つ、事例3つ、よくある質問10、保証・返品のルール。最後に、mROIの考え方で「1施策=目的=指標」を揃え、やめる基準も決めます。小さく試して学び、勝ち筋だけを横展開する運用が、規模の小さい会社ほど効きます。
AI活用は、文章やバナーを量産すること自体が目的になりがちです。先に「何を伝えると信頼が増えるか」を決め、その上でAIを制作の加速装置として使う、という順番にすると失敗が減ります。

参考リンク

共同通信PRワイヤー:電通プロモーション、4社統合による新体制で営業開始

4. BIPROGYがカタリナマーケティングジャパン子会社化、購買データ基盤を強化

概要

BIPROGYは2026年1月6日、カタリナマーケティングジャパン(CMJ)の親会社であるYosemite1の全株式取得を完了し、CMJを完全子会社化したと発表しました。CMJは食品スーパーやドラッグストアなどにリテールメディアネットワークを広げ、全国約1万3,000店舗から年間14兆円規模の購買データを預かる国内最大級のマーケティング支援プラットフォームに成長したと説明しています。2025年には新ブランド「AOUMI」を立ち上げ、参画リテーラーは120以上、カバー率は52%超、消費者IDは1.5億超としています。今後はBIPROGYのIT開発力・AI技術を投入し、需要を起点に流通全体をつなぐ「デマンドチェーン」の実現を目指す方針です。
発表では、リテールメディア市場が2028年に2024年比2.3倍の約1兆845億円規模になる見込みで、その中でも店舗事業者の領域は同3.2倍になるとも述べています。

中小企業への影響

中小企業にとって重要なのは、「広告=ネット上だけ」ではなく、購買データを起点に店頭・アプリ・ECを横断して動かす時代が本格化している点です。メーカーや小売と取引がある企業なら、リテールメディアを使って“買う直前の人”に届けられる可能性が高まります。たとえば新商品は試用や値引き、定番はリピート促進など、目的に合わせて設計できます。一方で、データ活用が進むほど、個人情報や表現の適正、効果測定の設計が問われます。数字の魅力だけで飛びつくと、費用が先行して継続できないリスクもあります。
物販でなくても学べる点があります。顧客の行動データを“次の提案”に活かす発想は、BtoBの営業や地域サービスにも応用できます。顧客が何で迷い、何で決めたのかを記録し、次の提案に反映するだけでも成果は変わります。

経営者の視点

経営者としては、リテールメディアを「大手だけの話」で終わらせないことが大切です。まず自社の顧客データ(購入履歴、問い合わせ理由、地域、再購入周期)を整理し、“誰に何を伝えると動くか”の仮説を作ります。次に、店頭施策を行う場合は、①狙う客層、②店内で見せる情報(メリット・使い方・比較)、③購買後のフォロー(レビュー依頼や再購入導線)まで一枚の設計図にします。最後に、KPIは売上だけでなく、リピート率や指名検索なども入れて、短期・中期で評価できる形にします。データ連携の波は確実に来ているので、準備している会社ほど選択肢が増えます。
さらに、外部プラットフォームを使うときは、データの取り扱い範囲と、クリエイティブの審査フローを必ず確認してください。最初は小さな予算でテストし、再現性が見えたら拡大する“段階投資”が安全です。

参考リンク

BIPROGY:カタリナマーケティングジャパンの株式取得(子会社化)完了に関するお知らせ(PDF)

5. ファミリーマートが“人がいる価値”を軸に、リテールメディア1000億円規模を視野

概要

ファミリーマートのリテールメディア事業が伸びており、細見研介社長は将来的に500億円、1,000億円規模まで拡大を狙えるとの見通しを示しました。記事では、店舗を情報発信の場として活用したいという提案が相次ぎ、広告出稿が食品だけでなく保険や金融などにも広がっているとしています。細見社長が強調する価値は「コンビニには人がいる」ことです。店員の声掛けや存在感といった“ヒューマンタッチ”を、購買データやデジタル施策とどう掛け合わせるかが鍵だと述べています。また自社アプリ「ファミペイ」は約3,000万ダウンロードに拡大しており、購買データを活用して店舗の接客・体験とデジタルを組み合わせた情報発信を進める方針です。

中小企業への影響

中小企業にとっての示唆は2つあります。1つ目は、流通が「売る場所」から「伝える場所」へ変わっていることです。広告はネットだけでなく、来店・購買の直前にある店舗体験の中に入り込んでいきます。2つ目は、データと人の力の組み合わせです。データだけでは冷たくなりがちですが、対面の安心感があると信頼が積み上がります。人手不足で接客が難しい会社ほど、“誰が何を伝えるか”を設計しないと、単なる値引き合戦になりやすい点も注意です。
たとえばメーカーなら、店頭で「買い方・使い方」が伝わると返品やクレームが減り、長期の売上に効きます。サービス業でも、来店前の説明が丁寧だとキャンセルが減ります。つまり“購買の前後”に情報を置ける会社が強くなります。

経営者の視点

経営者としては、「自社にも“人がいる価値”があるか」を棚卸ししてみてください。店舗がなくても、電話・訪問・サポート対応など、人が介在する接点はあります。そこで伝えるべきことを、①一言で言える強み、②よくある不安への回答、③次の行動(見積・予約・問い合わせ)の3点に絞り、スタッフ全員で同じ型を使うだけで成約率は上がります。加えて、アプリや会員情報など自社の小さなデータを活用し、購入後のフォローや再来店の提案を設計しましょう。大手のリテールメディアが伸びるほど、生活者は“便利な情報”に慣れます。だからこそ、地域の会社は、温かさと分かりやすさで差を作れます。
施策は大きく動かすより、小さく検証するのが安全です。店頭POPやメルマガの文面を2パターン作り、反応(問い合わせ率、再来店率)を比べます。結果が良い方を残し、悪い方は理由をメモして捨てる。この繰り返しが、データと人の両方を活かす最短ルートです。

参考リンク

食品新聞:ファミリーマート リテールメディア事業1000億円も視野 “人がいるコンビニ”を価値の軸に

まとめ

この期間のニュースを通して見えるのは、マーケティングが「配信テクニック」から体験設計とデータ活用へ重心を移していることです。生成AIで広告の作り方は速くなりますが、成果を分けるのは“意図に合う説明”と“信頼の根拠”です。検索はゼロクリック化が進むため、アクセス数だけで一喜一憂せず、指名検索・問い合わせの質・再来訪まで含めて設計する必要があります。リテールメディアや購買データ基盤が強くなるほど、「買う直前・買った直後」の情報の置き方が効いてきます。

まずは難しいことを増やさずに、次の3点から着手してください。

  • 意図の棚卸し:お客さまが検索・相談するときの目的を3〜5個に分け、各意図に刺さる説明を用意する
  • 素材の整備:強み、事例、FAQ、保証など“信頼の材料”を先に揃える
  • 小さな検証:2パターン比較→良い方を残す、を繰り返して再現性を作る

    大きな波は、準備している会社ほどチャンスになります。次回も、経営判断に直結する動きを絞って整理していきます。
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