生成AIニュースまとめ(2025年4月21日〜4月27日)

生成AIニュースまとめ(2025年4月21日〜4月27日)

生成AI(ジェネレーティブAI)は国内でも急速に存在感を増しています。
2025年4月21日から4月27日にかけては、政府による規制見直しや首相自らのAI体験、AIを悪用した新手の詐欺、企業間のAI連携プロジェクト、さらには大手企業による最新AIツールの発表など、経営者が注目すべきニュースが相次ぎました。本記事では忙しい中小企業の経営者向けに、これら5件のニュースを分かりやすく解説し、経営への影響と対応策をまとめます。

目次

1. 個人データのAI学習利用、同意不要へ?政府が規制緩和を検討

概要
政府の個人情報保護委員会は、AI開発に個人データを活用しやすくするための規制緩和を検討しています。
現在は本人の同意が必要な要配慮個人情報(人種や信条、病歴などデリケートな情報)について、AIの機械学習や統計分析を目的とする場合は同意なしで収集・利用できるよう法改正が議論されています。大量のデータが必要となる生成AIの開発環境を整え、日本のAI競争力を高める狙いです。2025年内の法案成立と2026年施行を目指す動きが報じられています。

中小企業への影響:
この規制緩和により、企業が保有する顧客データなどをAIモデルの訓練に活用しやすくなる可能性があります。
例えば、自社の販売履歴データを煩雑な同意取得なしにAIに分析させ、需要予測やマーケティングに役立てられるかもしれません。ただし、プライバシー保護への配慮は引き続き重要です。データ活用の幅は広がりますが、顧客の信頼を損ねないよう情報管理体制の強化や匿名加工などリスク低減策も求められます。

経営者の視点:
経営者としては今後の法改正の行方を注視しつつ、AI活用戦略を練る必要があります。
規制が緩和された場合を見据え、自社が持つデータ資産を棚卸ししてどのような生成AIサービス開発や業務効率化に活かせるか検討しましょう。同時に、社員へのプライバシー教育やデータガバナンス体制を整え、「データを使わせてもらっている」という意識で透明性を持った運用を心掛けることが大切です。

参考リンク:
時事通信:「人種・信条」AI活用に同意不要=個人情報保護の要件緩和

2. 石破首相が東大で生成AIを体験、AI活用に前向き姿勢

概要:
4月26日、石破茂首相が東京大学で最先端の生成AI講義・演習に参加しました。
首相を含む複数の閣僚が松尾豊教授(政府AI戦略会議座長)の講座を受講し、自分たちの演説データをAIに学習させて「首相らしい」演説文を生成する実習を体験しています。石破首相自身が最も“石破首相らしい”文を生成できたという結果も出ました。終了後、首相は「人口減少が進む中でAIの果たす役割は非常に大きい」と語り、日本を「世界で最もAIの開発・活用がしやすい国にしたい」と強調しています。また、現在国会で審議中のAI関連法案の早期成立に意欲を示し、規制や古い慣習を見直してAIの進歩に対応していく考えも示しました。

中小企業への影響:
国のトップ自らが生成AIに触れ、その有用性に太鼓判を押した形です。
これは政府として今後ますますAI推進に力を入れる表れであり、補助金や制度面で中小企業のAI導入が後押しされる可能性があります。例えば、地方での人手不足解消や業務効率化にAIを活用するプロジェクトが増えれば、中小企業も恩恵を受けられるでしょう。一方、「世界で最もAI開発がしやすい国」にするため規制緩和が進めば、新たなサービスやビジネスモデルが次々と登場し、市場競争が活発化することも予想されます。

経営者の視点:
経営者は政府のAI戦略を自社のチャンスと捉えましょう。
国の支援策や補助金情報にアンテナを張り、自社の業務課題(例えば反復作業の自動化や顧客対応の効率化など)に合った生成AIツール導入を検討してみてください。石破首相が示したように、変化を恐れず新技術に触れてみる姿勢が重要です。小さな実証実験からでも始め、社員と共にAIの可能性と限界を学ぶことで、将来の飛躍に向けた準備を進めましょう。

参考リンク:
TBS NEWS DIG:石破首相「目から鱗」東大で生成AI講義を体験、「AI法案」成立急ぐ

3. AI悪用の新手口、偽警察官のビデオ通話詐欺が増加

概要:
生成AIの発達は便利なサービスだけでなく、犯罪手口にも影響を及ぼしています。
警察によると、警察官になりすます特殊詐欺が高度化し、電話で相手をだますだけでなくLINEなどでビデオ通話を持ちかけるケースが増えています。犯人は電話番号の末尾を「0110」(警察の番号)に偽装した上で、制服警官の映像を見せながら「あなた名義の口座が犯罪に使われた」などと言い被害者を信じ込ませます。実際に4月には山形県で50代女性がこの手口により現金を振り込む被害が発生しました。大阪府警も、生成AIを使って詐欺の様子を再現した動画を制作し注意を呼びかけています。

中小企業への影響:
このようなAI悪用詐欺は個人だけでなく企業にとっても他人事ではありません。
例えば、経営者や取引先になりすましたメールや音声をAIで生成し、社員に不正送金させようとするビジネス詐欺のリスクも高まっています。中小企業は大企業に比べセキュリティ体制が手薄になりがちで、最新の手口に対する十分な注意が必要です。もし自社や従業員がお金や情報をだまし取られれば、直接的な損失に加え信用の失墜にも繋がりかねません。

経営者の視点:
経営者は社内に向けて「不審な連絡は必ず確認する」文化を徹底する必要があります。
警察や銀行が突然ビデオ通話で連絡してくることは通常ありえないため、その場で判断せず一旦電話を切り、公式窓口に確認するルールを社員に周知しましょう。また、生成AIを悪用した深刻な詐欺事例を社内研修で共有し、IT担当者がいればメールドメインのなりすまし対策や多要素認証の導入など技術面の防御も検討してください。最新の犯罪トレンドにアンテナを張り、会社と社員を守る意識が必要です。

参考リンク:
朝日新聞:ビデオ通話で偽警官が登場、AI合成の特殊詐欺に警戒呼びかけ

4. 日立と電通が生成AIで協業、食品ロス削減サービスを検討

概要:
4月23日、日立製作所電通電通デジタルの3社が生成AI分野で戦略的協業を開始すると発表しました。
共同プロジェクト「AI for EVERY」の第1弾として、スーパーで売れ残りそうな食材をAIが予測し、消費者に余り食材を活用したレシピを提案するサービスの検証を進めるとのことです。AIで需要を見極めて食品ロス削減に繋げる狙いがあります。異業種の大手企業同士が組む革新的なAI活用の試みとして注目されています。

中小企業への影響:
食品業界に限らず、AIによる需要予測やマーケティングの高度化は中小企業にも波及していくでしょう。
大企業発のプロジェクトの成果が業界全体の効率化・コスト削減に繋がれば、中小企業でも無駄を減らし収益を向上させるチャンスが広がります。

経営者の視点:
経営者として、自社の業界でどんなAI活用が進んでいるか常にアンテナを張っておくことが重要です。
今回の日立と電通の協業のように、異業種コラボから生まれるイノベーションに学び、自社でも例えばベテラン社員の経験値とAI分析を組み合わせて在庫予測精度を上げるといった工夫を検討してみましょう。また、このような新サービスが登場したら積極的に試してみることで、AI活用の経験値を高めることもできます。

参考リンク:
日立と電通、生成AIで食品ロス削減へ 新サービス「AI for EVERY」始動

5. Adobeが生成AIツール「Firefly」を強化、他社モデルも利用可能に

概要:
4月24日、クリエイティブソフト大手のAdobe(アドビ)はロンドン開催のイベント「Adobe MAX London 2025」で自社の生成AI「Firefly(ファイヤフライ)」シリーズの大幅アップデートを発表しました。
画像生成AIは新モデルで写実性や生成速度が向上し、動画生成AIも正式版が公開されて最大1080pの動画生成に対応しました。さらに、Adobe製品上で他社の生成AIモデルも選択して利用できるようになります。Adobe独自モデルは学習データを厳選し著作権リスクを抑えているのが特徴ですが、他社モデル利用時の生成コンテンツは自己責任で使うよう求められています。

中小企業への影響:
Fireflyの強化により、デザイン制作やプロモーション素材の作成が以前にも増して手軽になります。
専門のデザイナーがいない小規模企業でも、AIの力でSNS用画像やチラシ、商品ロゴ案などを素早く試作できるでしょう。特に他社の強力な生成AIモデルもAdobe製品内で使えることで、ツールの選択肢が広がります。ただし、AIが作った画像や動画をそのまま使う際には、著作権やブランドイメージへの配慮が必要です。便利な反面、既存作品に酷似した出力が生まれるリスクも指摘されています。

経営者の視点:
経営者はマーケティングや商品開発のスピードアップに生成AIを積極活用すると同時に、品質管理の目を持つことが求められます。
社員がAdobeの新機能で試作を作ったら、チームでレビューしてアイデアのブラッシュアップに繋げましょう。AIが出力したものを鵜呑みにせず、「人間の創意」と「AIの効率」を組み合わせるのがポイントです。また、社員にAIデザイン研修を受けさせるなど、低コストで魅力的な発信ができる体制を整えていきましょう。

参考リンク:
Impress Watch:アドビ、Fireflyが大幅強化 他社AIモデルも統合へ

まとめ

2025年4月第4週(21日〜27日)は、生成AIを巡って政策から実務まで様々な動きが見られました。
政府はルール整備を急ぎ、トップリーダーがAI推進の旗振り役を担おうとしています。一方で、悪意ある利用への警戒も不可欠であり、企業はセキュリティ意識を高める必要があります。また、大企業による異分野コラボや最先端ツールの登場は、中小企業にとってもイノベーションのヒントになるでしょう。経営者の皆様はこれらのニュースから「自社では何が活用できるか」「どんなリスクに備えるべきか」を考え、ぜひ次の一手に繋げてください。変化の激しい生成AI時代だからこそ、最新情報をキャッチアップし、俊敏かつ柔軟な経営判断でこの波を乗りこなしましょう。

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