マーケティングニュースまとめ(2025年4月9日〜4月15日)
今回注目すべきマーケティング関連の重要ニュースは、顧客体験価値の再定義、データ活用による新たな市場分析ツールの提供、若年層のSNS利用動向の変化、生成AIを活用した顧客対応の刷新、インバウンド対応の口コミ管理強化の5件です。
これらの動向は、自社のブランド力や販促戦略、さらには顧客満足度の向上に直結する内容ばかり。
ここでは各ニュースの詳細に加え、中小企業ならではの視点での対応策をご紹介いたします。
これにより、限られたリソースの中でも、効率的なマーケティング施策の検討や実行への一助となれば幸いです。
1. 顧客幸福度ランキング2025発表:ブランドがもたらす「幸せ」を数値化
【概要】
日経BP(2025年4月14日発表)は、最新のブランド価値指標「顧客幸福度」の2025年版ランキングを公表しました。この指標は、消費者が企業やブランドを利用した際にどれだけ「幸福」を感じるかを定量的に捉える新しい試みで、15業界・主要50ブランドに対して大規模アンケート調査が実施されています。結果、スタジオジブリやモスバーガー、ケンタッキーフライドチキンなど、消費者の心を動かすブランドが上位にランクインしました。
【中小企業への影響】
顧客幸福度が高い企業は、単なる製品やサービスの質以上に、顧客とのエモーショナルな繋がりを重視していることが伺えます。
中小企業でも、製品・サービスの改善に留まらず、顧客体験や関係性の構築に注力すれば、ファンやリピーターの増加に直結する可能性があるため、今後の差別化戦略として大きな示唆が得られます。
また、競合各社との差別化を図るための新たな指標として、顧客からのフィードバックや感情面の評価に基づいたマーケティングの見直しが求められるでしょう。
【経営者の視点】
まずは自社で顧客アンケートやSNSの口コミなどを通じ、「我が社が提供する価値は何か」を再検討してください。
ポジティブな意見は強みとしてさらに伸ばすべきポイントですし、改善点が示されている部分には迅速な対策が必要です。
ブランドがもたらす「幸せ」という視点は、単に売上拡大だけでなく、企業の将来的な信頼構築においても非常に重要です。
自社の強みを再確認し、SNSやウェブメディアで積極的な発信を行うことで、顧客との関係をさらに強固なものにしていくことが期待されます。
【関連リンク】
ブランドがもたらす幸せとは? 日経クロストレンド”顧客幸福度”ランキング公開
2. マクアケ、新マーケティング支援サービス「Makuakeインサイト」提供開始
【概要】
クラウドファンディングで大きな実績を誇るマクアケは、2025年4月15日、自社プラットフォーム上に蓄積された4.3万件以上のプロジェクトデータと290万人超の購入データを活用した、マーケティング支援サービス「Makuakeインサイト」の提供を開始しました。
このサービスは、従来のプロジェクト支援にとどまらず、新商品の企画段階から販売戦略の立案、さらには市場投入後のフィードバック活用まで一連のプロセスをサポートすることを目的としています。
【中小企業への影響】
新製品・サービスを企画する際、大企業に比べて市場調査のリソースが限られている中小企業にとって、実際の消費者の反応データを活用できる点は大きなメリットです。
実ユーザーデータを基にした市場分析により、製品のコンセプト精査や価格設定、プロモーション戦略の立案などがより効果的に行えるようになるでしょう。
また、消費者のトレンドやニーズをリアルタイムで把握できるため、競争激しい市場環境においても迅速かつ的確な判断が可能です。
【経営者の視点】
経営者としては、まず自社商品の市場適合性を検証する実証実験(PoC)を実施し、マーケティング施策の効果を測ることをお勧めします。
マクアケインサイトなどの外部ツールを活用し、低コストで市場データを入手しながら、自社の強みや弱みを客観的に分析することが重要です。
これにより、リスクを抑えた新商品投入や、既存商品の改良に向けた戦略を立案することが可能となります。
さらに、同業種の事例研究を通じ、成功のパターンや失敗から学ぶ取り組みを積極的に取り入れましょう。
【関連リンク】
マクアケが新商品トレンドや顧客インサイトを可視化するリサーチサービス「Makuakeインサイト」の提供を開始
3. 新社会人のSNS利用・購買行動最新トレンド(調査レポート)
【概要】
マーケティングリサーチ企業ダッシュボードは、2025年4月15日に「2025年新社会人のSNS活用実態と購買行動」に関する調査結果を発表しました。
本調査では、18~24歳の新社会人を対象とし、SNS利用の実態、プラットフォーム別の傾向、さらにはSNS経由での購買体験の変化などが詳細に分析されています。
結果として、男性は「YouTube」、女性は「Instagram」が主な情報収集・購買チャネルとして挙げられ、さらに新たに台頭しているSNSとして「BeReal」や「Threads」も注目されています。
【中小企業への影響】
若年層をターゲットにする企業にとって、最新のSNS利用動向はマーケティング戦略策定の重要なヒントとなります。
従来の広告手法に加え、SNS上での口コミ・レビュー、インフルエンサーによる発信が購買意欲を大きく左右する現代では、動画コンテンツやビジュアル重視の情報発信が必須となるでしょう。
また、SNS内でのブランドコミュニケーションを工夫することで、顧客との距離を縮め、ファン獲得につなげることが期待されます。
【経営者の視点】
新社会人や若年層にリーチするため、まずは自社のSNSアカウントの運用方針を見直しましょう。
例えば、Instagramでのストーリーズ投稿やYouTubeでのプロモーション動画の作成、または新SNSプラットフォームでの試験的なマーケティングキャンペーンなど、多角的なアプローチが求められます。
特に、消費者が広告に対して敏感である現状を踏まえ、自然な情報提供やユーザー参加型コンテンツを増やす工夫が重要です。
さらに、SNS上でのフォロワーとのコミュニケーションを積極的に行い、リアルな声を反映した商品改善に取り組むことで、口コミ効果や顧客ロイヤルティを向上させましょう。
【関連リンク】
25年4月に新社会人が来る! 知っておきたいSNSの最新利用傾向は?【ダッシュボード調べ】
4. ベルシステム24、生成AI活用型VOCマーケティング支援サービス「s.i.g.n.」開始
【概要】
通信・コールセンター大手のベルシステム24は、2025年4月8日に生成AIを活用した新たなVOCマーケティング支援サービス「s.i.g.n.」をリリースしました。
本サービスは、企業内外の顧客の声(VOC)を広範囲に収集・統合し、生成AIとコンサルティングを活用して顧客の本音やニーズを可視化・分析するものです。
これにより、企業は適切なタイミングで迅速な改善策の検討・実行が可能となり、顧客満足度の向上やブランドの信頼性強化が期待されます。
【中小企業への影響】
多くの中小企業にとって、顧客からのフィードバックは貴重な情報ですが、統計的に大量のデータを効率良く分析する手段が確立されていないことが課題でした。
本サービスのように、生成AIを用いることで低コストでVOC分析が実現すれば、個々の声から具体的な施策を導き出すことが可能となり、結果として顧客対応の迅速化や改善のサイクルの加速に繋がります。
特に、オンライン上で散見される口コミやSNSでの投稿を迅速に把握できる体制は、競争が激化する市場において非常に有効です。
【経営者の視点】
経営者としては、顧客の声を単なるフィードバックとして受け取るだけでなく、戦略的な情報資源として活用する意識が必要です。
まずは、簡単なアンケート調査やSNSからの意見収集を日常的に実施し、得られたデータをもとにどの部分に改善の余地があるかを明確化してください。
AIツールが導入しやすい環境が整い始めている今、少額投資で始められる無料ツールやクラウドサービスを活用し、段階的な導入を検討するのも一策です。
こうした取り組みにより、顧客との信頼関係をさらに強化し、長期的な競争優位性の確立を図っていくことが期待されます。
【関連リンク】
ベルシステム24、真価を引き出す伴走型コンサルと生成AIでVOCマーケティングを成功へ導く「s.i.g.n.」を提供開始
5. STOREPAD、海外口コミ一元管理でインバウンド対応をAI強化
【概要】
店舗向け集客支援ツールを提供するSTOREPAD(運営:イクシアス株式会社)は、2025年4月14日に主要な海外予約サイトとの口コミ連携機能を追加し、訪日インバウンド顧客からの口コミ評価を自社プラットフォーム上で一元管理できる新機能を発表しました。
これにより、Booking.comやAgoda、Hotels.comなどの口コミデータを統合して把握することが可能となり、多言語でのレビュー分析や迅速な返信対応を実現します。
店舗の実情に合わせたAI解析を導入することで、業務効率化と共に顧客満足度の向上が見込まれます。
【中小企業への影響】
訪日外国人の増加に伴い、地域の中小企業も海外からの口コミ評価が集客のカギとなっています。
しかし、複数の口コミサイトでの情報管理は手間がかかるため、今回のような一元管理システムの導入は大きなメリットをもたらします。
特に、外国語のレビューを自動で解析できる機能は、専門人材の負担軽減と迅速な対応の実現につながるでしょう。
インバウンド需要を見込んでいる店舗は、効率的な口コミ管理を通じて、ブランド評価の底上げやリピーター獲得に向けた戦略を強化すべきです。
【経営者の視点】
まずは、自社に関連する口コミサイトや予約プラットフォームを整理し、現状の評価やコメント傾向を把握することから始めてください。
その上で、AIを活用した口コミ管理ツールの導入を検討し、定期的にレビュー内容に基づいた改善策を講じる体制を構築することが重要です。
特に、飲食店や宿泊施設などのサービス業では、迅速な口コミ対応が直接売上に結びつくため、現場スタッフにも適切な研修やマニュアルの整備を実施することで、口コミによる集客効果を最大限に引き出すことが求められます。
【関連リンク】
「STOREPAD」に海外主要媒体との連携機能を追加〜インバウンド対策を強化し、口コミ対応をAIで効率化〜
まとめと今後に向けたアクション
今回ご紹介した5件のマーケティングニュースは、顧客体験の向上、データに基づく戦略立案、最新SNSの動向把握、生成AIによる迅速な顧客対応、多言語口コミ管理とインバウンド施策と、いずれも中小企業が限られたリソースで効率的に市場に対応するためのヒントが満載です。
これらの動向を踏まえ、経営者として以下の点に着目していただきたいと思います。
- 顧客視点の徹底:顧客アンケート、SNS上のフィードバック、口コミなどから、顧客が何を求め、どのような体験に「幸福」や満足を感じるのかを定期的に把握しましょう。ブランド価値向上の鍵は、顧客の声を戦略に反映することにあります。
- データ活用による戦略強化:マクアケインサイトや最新の調査結果から得られる実データを、商品・サービスの企画や販売促進策の策定に積極的に取り入れることで、リスクを最小限に抑えた成長戦略が可能になります。
- 最新テクノロジーの導入検討:生成AIをはじめとする先進技術は、従来の業務フローの改善に留まらず、企業文化としてのデジタルトランスフォーメーションを推進する重要なツールとなります。小さな実験的導入から始め、成功事例を基に段階的に取り入れていく戦略が有効です。
- 多言語・多チャネルでの顧客対応:グローバルな視点から見ると、海外顧客への口コミ対応や多国籍SNSの動向分析は、今後の成長エンジンとなり得ます。口コミ一元管理ツールの活用により、効率的に評価情報を収集・分析し、迅速な対応に結びつけることが非常に重要です。
いずれの施策も、単発の取り組みではなく、継続的なPDCAサイクルを回しながら、事業環境の変化に柔軟に対応していくことが肝要です。中小企業だからこそ、機敏な意思決定と限られた資源での最大活用が求められます。今後も各種マーケティングツールや最新技術を上手く取り入れ、競争優位性を確立するための知見を得ながら、日々の経営判断に反映させていきましょう。