マーケティングニュースまとめ(2025年4月30日〜5月6日)

マーケティングニュースまとめ(2025年4月30日〜5月6日)

マーケティングの世界は日々新たな戦略やツールが生まれ、中小企業の経営者にとっても目が離せません。
4/30〜5/6は、日本国内でマーケティングに関する重要なニュースがいくつも発表されました。例えば、Z世代の購買行動を左右するSNS動画の実態や、Googleが信頼性向上のために打ち出した新機能、主要プラットフォームの連携や新サービス、そして大手企業によるユニークなマーケティング施策などです。この記事では、忙しい中小企業経営者の皆様に向けて厳選した5件のニュースを解説し、それらが中小企業にもたらす影響と経営者として取るべき対応策をまとめました。ぜひ最後までお読みいただき、明日からの経営にお役立てください。

目次

1. Z世代の購買を動かすのは“共感できる縦型動画”

概要:
若年層マーケティングの鍵は「共感」です。
全国の18〜25歳(Z世代)を対象にした調査によると、TikTokやInstagram Reelsなど縦型動画SNSが、この世代の購買行動に最も大きな影響を与えていることが分かりました。特に「一目で広告と分からない」自然体の動画コンテンツが支持されており、企業が商品をさりげなく登場させたトレンド動画や、インフルエンサーではない一般ユーザーによる正直なレビュー動画が購買意欲を高めています。反対に、いかにも宣伝と分かる公式投稿や過度に演出されたPR動画はZ世代から敬遠されがちで、魅力度が低いという評価結果が出ています。このように、「共感できる本音コンテンツ」こそがZ世代の心を動かすポイントなのです。

中小企業への影響:
Z世代を顧客に持つ企業にとって、この調査結果は重要な示唆となります。
大掛かりな広告予算がなくとも、真実味のあるSNS動画で勝負すれば十分に訴求可能です。例えば、自社商品を実際に使っている様子をスマホで撮影し、飾らない率直なコメントとともに投稿するだけでも、若いユーザーには刺さりやすくなります。逆に、宣伝色が強すぎるコンテンツは逆効果になりかねません。中小企業でもTikTokやInstagramを活用するハードルは低くなっています。コストをかけずにリアルな声を発信できるチャンスと捉え、マーケティング戦略に縦型動画SNSを組み込みましょう。

経営者の視点:
経営者としては、「自社の商品・サービスを若者にどう伝えるか」を今一度見直す好機です。
まず、社内や身近なファンの協力を得て本音のレビュー動画を作ってみましょう。難しい編集や演出は不要で、むしろ日常感のある素朴な映像が信頼を得やすい点に注目です。また、ユーザーが自発的に投稿してくれた動画(UGC)を紹介したり、流行のハッシュタグに参加したりして双方向のコミュニケーションを図りましょう。大切なのは、「顧客と同じ目線」に立つことです。商品に対する率直な意見に耳を傾け、それを発信に活かす企業姿勢が、Z世代からの共感と支持を生むでしょう。

参考リンク:
PR TIMES:Z世代の「買う理由」は“共感できる縦型動画”【調査レポート】

2. Googleマップ、不正レビューに対する新警告「消費者アラート」導入

概要:
口コミの信頼性向上に向けたGoogleの新施策です。
Googleは5月より、Googleマップ上で不正な高評価レビューを検出・削除した際に「消費者アラート」という警告を表示する機能を世界規模で展開開始しました。例えば、実際に来店していない人がつけた★5レビューなど、AIが不審と判断した場合、そのレビューを削除すると同時に「この店舗では不正なレビューが行われた可能性があります」という警告バナーが一般ユーザーにも表示されます。この機能は米国・英国・インドで先行導入されており、5月から日本を含む全世界で順次適用されることになりました。さらに悪質な場合、一定期間その店舗への新規レビュー投稿が一時停止されたり、既存の口コミが非表示になる措置も行われます。Google自らがユーザーに対して店舗のレビュー信用度を注意喚起する、かなり踏み込んだ取り組みと言えるでしょう。

中小企業への影響:
この新機能は、中小企業にも大きな教訓を与えます。
これまで口コミ評価は集客に直結するため、中には自作自演で★5評価を水増ししようとするケースもありました。しかし今後は、そうした不正な評価操作は大きなリスクとなります。万一、自社のGoogleビジネスプロフィールが「消費者アラート」の対象となれば、ユーザーからの信頼は一気に損なわれかねません。逆に言えば、正直で良質な口コミをコツコツ蓄積してきた店舗には追い風です。不正競争をする相手がいれば自然と排除され、公正な評価が残りやすくなります。つまり、小細工ではなく誠実な顧客対応でファンを増やしてきた中小企業ほど、相対的に評価が向上する可能性があります。また、この措置により口コミ管理の重要性が一段と高まります。日頃からレビューをチェックし、問題のある投稿は報告するなど、健全な口コミ環境を維持する努力が求められるでしょう。

経営者の視点:
経営者はまず、自社の口コミ戦略を点検してください。
「良いレビューが欲しいから」といって業者に依頼したり架空アカウントで評価を書き込んだりする行為は、もはやリスクでしかありません。今取るべきは王道の戦略です。実際の顧客満足度を高め、その結果として高評価をもらうという本質的な取り組みに集中しましょう。具体的には、来店・利用いただいたお客様に丁寧にお礼を伝え、満足いただけたらGoogleでのレビュー投稿をお願いする、といった地道な施策が効果的です。いただいた口コミには経営者自ら返信し、感謝や改善策を示すことで他の閲覧ユーザーにも誠実さが伝わります。また、低評価には真摯に向き合い改善を図る姿勢を示しましょう。信頼の積み重ねこそ最大のマーケティング資産です。不正なくして評価を上げていく正攻法が、長期的に見て必ず報われるはずです。

参考リンク:
不正なクチコミ行為を行っているビジネスにペナルティ、「消費者アラート」機能

3. GoogleビジネスプロフィールとLINE公式アカウントの連携テスト開始

概要:
集客と顧客対応に役立つ新機能の予告です。
日本で人気のメッセージアプリLINEとGoogleビジネスプロフィール(Googleマップ上の店舗情報)が近く連携する可能性が高まりました。運営会社のLINEヤフー株式会社は、一部のLINE公式アカウント管理者に対し、「GoogleビジネスプロフィールとLINE公式アカウントの連携予定」を案内し始めています。現在はテスト段階とのことで、具体的な実装日は未定ですが、海外で既に提供されているGoogleマップとWhatsAppの連携と類似した機能になると見られます。具体的には、Googleで店舗を検索したユーザーが、そのままLINEでお店にメッセージを送れるようなチャット連携機能が想定されています。実現すれば、Google検索やマップ上でお店を見つけた顧客がワンクリックで問い合わせや予約をLINEで行えるようになり、企業と顧客のコミュニケーションが一層スムーズになるでしょう。

中小企業への影響:
この連携が正式に始まれば、中小企業にとって顧客接点の強化につながります。
これまでGoogle経由の問い合わせは電話やメールが主流でしたが、今後は顧客がお馴染みのLINEで気軽にメッセージを送れるようになります。日本ではプライベートからビジネスまでLINE利用が広く定着しており、その利便性を自社集客にも取り込めるメリットは大きいです。例えば飲食店や小売店であれば、Googleで見つけた新規のお客様からLINEメッセージで予約や在庫問い合わせが来るかもしれません。従来より低いハードルで見込み客と繋がれるため、機会損失の削減新規顧客獲得に寄与するでしょう。ただし、一方で即時対応の体制も求められます。LINE連携により問い合わせ件数が増加した場合、返信の遅れはそのまま顧客不満に繋がりかねません。便利になる分、迅速かつ丁寧な対応で信頼を得る努力がこれまで以上に重要になります。

経営者の視点:
経営者として今から準備しておくべきは二点です。
第一に、LINE公式アカウントの整備です。まだ開設していない場合は早めにアカウントを作成し、基本情報や自動応答メッセージを設定しておきましょう。既に運用中の場合も、プロフィールや応答メッセージを見直し、問い合わせが来た際にスムーズに対応できるようチーム内で役割を決めておくことが大切です。第二に、Googleビジネスプロフィールの最新化です。店舗情報や営業時間が正確か、問い合わせ用の電話やウェブ情報が整っているかを確認しましょう。LINE連携が実装された暁には、お客様からのメッセージに即レスポンスすることで顧客満足度を高め、競合との差別化につなげます。「すぐ連絡が取れるお店」という安心感はリピートや口コミにも良い影響を及ぼすはずです。新機能の正式リリースを注視しつつ、いつでも活用できるよう準備を進めておきましょう。

参考リンク:
GoogleビジネスプロフィールとLINE公式アカウントの連携が開始予定

4. LINE、友だち追加で無料配布できる「プロモーション絵文字」サービス開始

概要:
国内最大級のコミュニケーションアプリLINEから、中小企業にも嬉しい新サービスが登場しました。
2025年4月1日付でLINEは法人向けに「LINEプロモーション絵文字」の提供を正式に開始しています。これは、企業オリジナルのLINE用絵文字(スタンプではなく絵文字)を作成し、LINEスタンプショップ上で自社の公式アカウントと引き換えにユーザーへ無料配布できるという仕組みです。ユーザーは絵文字を無料でもらうためにその企業のLINE公式アカウントを「友だち追加」する必要があるため、企業側は楽しみながら友だち(フォロワー)を増やせるのが特徴です。LINEの調査によれば、ここ2年でLINE絵文字の利用者数・送信数は115%以上も増加しており、テキストにちょっとした彩りを添える絵文字文化が定着しています。つまり、多くのユーザーにとって魅力的なオリジナル絵文字を提供できれば、認知度アップや企業への好感度向上にもつながると期待されています。スタンプより手軽に使える絵文字を活用したプロモーションは、新時代のマーケティング手法として注目されています。

中小企業への影響:
このサービスは、大企業だけでなく中小企業にも大きなチャンスとなり得ます。
これまでLINEスタンプによるプロモーションは制作コストやハードルの高さが課題でしたが、絵文字であれば比較的少ないデザイン数(最大20種類)でキャンペーンが実施可能です。ユニークなキャラクターや魅力的なアイコンを持つ企業なら、自社の世界観を反映した絵文字を作ることでファンとのエンゲージメント強化が期待できます。例えば小さなカフェが可愛い動物のマスコットを絵文字にして配布すれば、顧客が日常のやりとりでその絵文字を使うたびにお店の存在を思い出してもらえるかもしれません。さらに友だち追加を条件にしているため、一度絵文字目当てで友だちになったユーザーにも、後日メッセージ配信でクーポンや新商品情報を届けることができます。注意点としては、絵文字の質運用後のフォローです。せっかく増えた友だちがすぐブロックしてしまわないよう、魅力的なコンテンツ発信を続けることが重要です。このサービスを上手く活用すれば、低コストで顧客リストを拡大し、リピーター育成につなげることができるでしょう。

経営者の視点:
経営者の皆様は、自社でこの「プロモーション絵文字」を導入できないか検討してみましょう。
まずは自社ブランドや商品にちなんだ絵文字のアイデア出しです。難しく考えず、店舗キャラクターやロゴ、看板商品などをデフォルメしたシンプルなデザインで構いません。専門のデザイナーに依頼する余裕がない場合でも、最近はオンラインでイラスト作成を請け負うサービスも多数あります。費用対効果を試算しつつ、まず10種類程度の絵文字セットから始めてみるのも一案です。キャンペーンを開始したら、店頭やSNSで「LINEで友だちになると○○絵文字プレゼント!」と告知し、できるだけ多くの人に参加を促しましょう。肝心なのは絵文字配布後のコミュニケーションです。せっかく増えた友だちに対しては、定期的に役立つ情報や特典を配信し、絵文字以上の価値を提供することを心がけてください。そうすれば、一度きりの繋がりを長期的な顧客関係へ発展させることができます。新しいツールを積極的に取り入れ、顧客との距離を縮めていきましょう。

参考リンク:
ITmedia:『LINEプロモーション絵文字』正式スタート 公式アカ友だち追加で絵文字プレゼント

5. 猛暑に備えた新発想マーケティング – イオン「COOL de ACTION 2025」

概要:
大手流通グループイオンのユニークなマーケティング施策です。
イオンは今年、猛暑が予想される夏に向けて、涼しく快適に過ごすためのプロジェクト「COOL de ACTION 2025」を4月より始動しました。このプロジェクトでは、「身を守る猛暑対策」と「猛暑でも楽しめる夏」を柱に、全国約4,500カ所もの「クールスポット」をイオングループ各店舗に設置するのが大きな目玉です。具体的には、すでに自治体から暑さ避難施設に指定されている約1,200カ所の「クーリングシェルター」に加え、新たに3,300カ所の涼しい休憩スペースを店内に設けて一般開放するとのこと。これにより、買い物客や地域の人々が猛暑日には自由に立ち寄って涼める環境を提供します。また、イオンは約1万3,000人の従業員に熱中症対策の専門資格を取得させ、店頭で予防アドバイスができる体制も整備しています。さらに、接触冷感素材の衣料品「ピースフィット」や冷感寝具、経口補水液や冷凍食品など、夏を乗り切る商品群の展開も長期間にわたって実施します。単なる商品の販売促進ではなく、地域社会とともに猛暑に立ち向かう企画として打ち出すことで、集客とブランディングの両面を狙った施策と言えます。

中小企業への影響:
一見、大企業の社会貢献的な取り組みに思えますが、中小企業にも学べるポイントが多くあります。
まず、社会的課題を切り口にしたマーケティングという発想です。猛暑や災害級の暑さという課題に対し、自社のできる範囲で解決策を提供することで、地域からの信頼と共感を得ることができます。例えば小売店やカフェであれば、猛暑日に店頭で冷たい麦茶やウォーターサーバーを無料提供したり、一角に休憩スペースを設けたりするだけでも「涼をとれるお店」として認知されるでしょう。それ自体が口コミとなり、新規客が来店するきっかけになるかもしれません。さらに、季節ニーズに合わせた商品・サービスの展開も重要です。イオンが冷感グッズや冷たい食品を打ち出しているように、中小企業でも夏に売れる商品やメニューを強化することで売上拡大が期待できます。特に今年は猛暑が予想されるだけに、消費者の関心も高まっています。タイムリーな品揃えとプロモーションで、「この夏はこの店が頼りになる」と思ってもらえればリピーター獲得にもつながるでしょう。要は、大企業の施策を自社規模に合わせて実践する工夫が大切なのです。

経営者の視点:
経営者の皆様には、今回のイオンの例をヒントに自社ならではの地域貢献マーケティングを考えていただきたいと思います。
ポイントは無理をせず「等身大の範囲で社会に役立つこと」を提供することです。予算や人手に限りがあっても、例えば「打ち水イベントを商店街で開催し参加者に特典を出す」「高齢のお客様に日傘貸し出しサービスをする」など、小さな工夫で地域に涼を届けるアイデアは色々あります。そうした取り組みをSNSや店頭ポスターで発信すれば、企業の姿勢に共感したお客様との絆が生まれます。また、社員教育の面でも、イオンが資格取得を奨励したように従業員の知識向上は強みになります。熱中症対策に詳しいスタッフがいれば、お客様へのアドバイスで付加価値を提供できますし、社員自身の健康管理にも役立ちます。総じて、季節を味方に付けた経営戦略を練ることが肝心です。ただ商品を売るだけでなく、季節課題の解決や楽しみ方の提案まで含めて提供できれば、中小企業でも十分に差別化が図れるでしょう。この夏に向け、ぜひ“涼活”をキーワードに自社ブランドの価値向上を目指してみてください。

参考リンク:
PR TIMES:猛暑でも楽しめる夏へ イオン「COOL de ACTION 2025」プロジェクト始動

まとめ

以上、注目のマーケティングニュース5件をお届けしました。共通して浮かび上がるのは、「顧客との信頼関係」「時代の流れへの適応」というキーワードです。Z世代のSNS動向やGoogleの新機能からは、誠実で共感を呼ぶ情報発信の重要性を改めて感じます。嘘や誇張ではなく、リアルな価値を伝える企業が選ばれる時代だと言えます。また、LINE連携やプロモーション絵文字といった施策は、顧客の生活導線に自社を溶け込ませる工夫の好例でしょう。大企業の大型キャンペーンからも、発想次第で中小企業が取り入れられるヒントが見つかりました。

経営者の皆様には、まず今回のニュースから得られたアイディアを自社の具体策に落とし込んでみることをおすすめします。例えば、SNSで発信するコンテンツを見直してより人間味あるものにする、口コミ対応ポリシーを社内で共有徹底する、LINE公式アカウントを開設・強化して顧客との距離を縮める――といった具合に、小さな一歩を踏み出してみましょう。それぞれのニュースにあった施策はすぐに実践できるものも多いはずです。重要なのは、「最新情報を知って終わり」ではなく「自社では何ができるか?」と考え行動に移すことです。

そして以降も、変化し続けるマーケティング環境にアンテナを張り続けてください。技術革新や消費者ニーズの変化は、中小企業にとって脅威であると同時にチャンスでもあります。最新トレンドをキャッチアップし、自社なりの創意工夫で取り入れていくことで、市場での競争力とお客様からの信頼を着実に高めていけるでしょう。今回のニュースをきっかけに、ぜひ貴社のマーケティング戦略を一歩前進させていただければ幸いです。今後も情報収集を怠らず、時代の波を味方につけて中小企業ならではの強みを発揮していきましょう!

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