マーケティングニュースまとめ(2025年11月19日〜11月25日)
中小企業経営者が押さえておくべき重要なマーケティングニュースは、ブランドをAIエージェント化する動き、巨大プラットフォームによる広告・顧客接点の再設計、動画生成AIによる制作負荷の軽減、そしてクールジャパン×DXでインバウンド市場を狙う取り組みの5本です。
どれも「人手だけでは回しきれないマーケティング業務を、AIとデジタルでどう効率化し、売上につなげるか」という共通テーマがあります。
この記事では、博報堂・LINEヤフー・Meta・スタートアップ・イベント主催企業の取り組みを取り上げながら、中小企業がどのように活かせるかをわかりやすく解説します。
自社のマーケティング戦略をアップデートするヒントとして、ぜひ参考にしてください。
1. 博報堂「Branded AI Agent」:ブランド人格をAIに落とし込む新ソリューション
概要
博報堂は、企業のブランドを人格や生命を持った存在としてAI上に再現し、一貫したブランド体験を提供する「Branded AI Agent」を発表しました。AIエージェントとの対話を通じて生活者に新しい気づきや行動を促し、ブランド理解や関係構築を深めることを狙ったソリューションです。開発にはグループ内のAI専門チーム「HCAI Professionals」が関わり、イベントでは多様な個性を持つAIエージェント群「tsubuchigAI」のプロトタイプも公開されています。
中小企業への影響
大企業向けのソリューションという印象が強いですが、「ブランドを人格として設計し、その人格で顧客と対話する」という考え方は中小企業にも非常に参考になります。
たとえば、
- 自社サイトのチャットボット
- LINE公式アカウントの自動応答
- FAQや問い合わせメールのテンプレート
などの場面で、「うちの会社ならどう話すか?」というトーンや価値観を整理しておくことで、小さな接点でも“らしさ”を伝えやすくなるからです。
また、AIチャットツールを使う際にも、ブランドの「口癖」「大事にしていること」「避けたい表現」を事前に決めておくと、アウトプットの品質が安定します。
経営者の視点
今すぐ博報堂のソリューションを導入するかどうかよりも、まずは次の3点を進めることがおすすめです。
- ブランド人格シートを作る
- 一言でいうと「自社を人にたとえるとどんなキャラクターか」を言語化します。
- 主要チャネルごとの話し方ルールを決める
- メール・SNS・チャットなどで、敬語レベルや絵文字の可否などを決めておくと、誰が対応してもぶれにくくなります。
- 小さなAI活用から試す
- まずは問い合わせ対応や採用ページなど、リスクの低い領域からAIチャットを試し、「ブランドらしさ」をどこまで反映できるかを検証すると良いです。
AIエージェント時代に備え、「ブランドの人格設計」から着手しておくことが、中小企業にとっても将来の武器になります。
参考リンク
MarkeZine:博報堂、企業のブランドをAIエージェント化する「Branded AI Agent」を開発
2. LINEヤフー「Connect One構想」:広告・CRM・ECを横断するAIプラットフォームへ
概要
LINEヤフーはビジネスイベント「LINEヤフー BIZ Conference 2025」で、同社が進める「Connect One構想」の進化版と複数の新機能を発表しました。構想の中心には、LINE公式アカウントを軸に広告・販促・CRM・EC・予約などを一つの基盤上で提供する次世代プラットフォームがあります。2025年にはLINEとYahoo!のビジネスID統合が完了し、今後はLINE広告とYahoo!広告が「LINEヤフー広告」として一本化される予定です。さらに、サービス横断で成果を分析できる「Business Manager Insights」や、情報をまとめて表示する新しい「Business Profile」、オフライン接点を強化する「LINEタッチ」など、多数のアップデートが紹介されました。
中小企業への影響
中小企業にとってのポイントは、「LINEとYahoo!をバラバラに運用する時代が終わりつつある」ということです。
- 1つのビジネスIDで、広告配信・友だち管理・分析がつながる
- 検索データとメッセージデータを組み合わせた高度なターゲティングが可能になる
- ホームタブやミニアプリタブなど、新たな露出面が増える
これにより、少ない予算でも「狙った顧客に、適切なタイミングで」届けやすくなります。一方で、設定内容やデータの扱いを誤ると、予算が無駄に消費されてしまうリスクも高まります。
経営者の視点
経営者としては、次のステップを意識しておくと良いです。
- 自社のLINE・Yahoo!の現状棚卸し
- LINE公式アカウント、LINE広告、Yahoo!広告、店舗のポイントカードなど、どんな接点があるかを書き出します。
- 「友だち」や会員を増やす導線を整える
- 店頭ポップやレシート、Webサイト、予約フォームなどに、友だち追加や会員登録の導線をしっかり設計します。
- 来年以降の「LINEヤフー広告」への移行を前提に情報収集
- 代理店やパートナー、公式セミナーから最新情報を取りに行き、「どういう配信設計なら小さな予算でも成果を出せるか」を早めに学んでおくことが重要です。
「顧客との接点がLINEとYahoo!に集中している」企業ほど、今回のアップデートは中長期の売上に直結するテーマになります。
参考リンク
MarkeZine:LINEヤフー、AIエージェント実装の「Connect One構想」と新機能群を発表
3. Meta「Meta AI」日本提供開始:SNS上の顧客接点が会話型にシフト
概要
Metaは、日本国内でAIアシスタント「Meta AI」の段階的提供を開始しました。Instagram、Facebook、Messenger、WhatsAppなどのアプリで利用でき、アプリ内のアイコンをタップしたり、グループチャット内で「@Meta AI」と入力したりすると、質問への回答やアイデア出し、コンテンツ作成などを行ってくれます。ブラウザ版の「meta.ai」からも同様の機能が利用可能で、世界ではすでに月間10億人超が活用しているサービスです。日本向けには、今後の機能追加や日本の文化・生活への最適化も予定されています。
中小企業への影響
中小企業にとってのポイントは、SNS上のコミュニケーションが「投稿を見る場」から「AIを介した相談・検索の場」に変わりつつあることです。
顧客が
- 「近くの○○」
- 「おすすめの○○」
- 「△△な雰囲気のお店」
といった質問をSNS上で行い、その答えをMeta AIが提示する未来が現実味を帯びています。
このとき、日頃の投稿内容やプロフィール情報が、AIの判断材料になる可能性があります。情報を整理しておくほど、AIに「紹介されやすい存在」になれると考えられます。
経営者の視点
次のような準備を進めておくと、将来の変化に対応しやすくなります。
- Instagram・Facebookの基本情報を整理する
- 店舗情報、サービス内容、価格帯、営業時間、強みなどを、テキストでわかりやすく書き直します。
- よくある質問を投稿やハイライトにまとめる
- メニューの違い、予約方法、キャンセルポリシーなどを整理し、AIにも伝わりやすい形にしておきます。
- 社内でのAI利用ルールを決める
- スタッフがMeta AIを使ってキャプション案や画像案を出すことも増えていきます。
- どこまでAI案を採用するか、最終チェックは誰が行うか、といったルールを決めておくと安心です。
SNS運用は「映える写真」だけでなく、AI時代を見据えた情報整備と対話設計が重要になってきています。
参考リンク
MarkeZine:Meta、AIアシスタント「Meta AI」を日本で段階的に提供開始
4. 動画生成AI「NoLang」:広告・マーケティング特化テンプレで動画内製を加速
概要
動画生成AI「NoLang(ノーラン)」を提供する株式会社Mavericksは、広告・マーケティング用途に特化したテンプレート機能を大幅に拡充したと発表しました。300種類以上の音声、100種類以上のアバター、テロップの改行や「間」の調整機能などを追加し、テキストや資料を入力するだけで、ショート動画や広告クリエイティブを素早く作れるようにしたものです。縦型ショート動画市場の拡大と動画広告の需要増加に伴い、「量を作りたいが制作リソースが足りない」という現場の課題解決を狙っています。
中小企業への影響
これまで動画広告は、
- 撮影・編集の外注コストが高い
- 何パターンも作るだけの予算や時間がない
- SNSごとのフォーマットに合わせるのが大変
といった理由で、手を出しづらい領域でした。
テンプレート型の動画生成AIを使うことで、
- 画像やテキストを用意するだけで、まず1本作ってみる
- 訴求パターンを変えた複数パターンを低コストで試す
- 反応の良いものだけを残して広告に投下する
といったテストマーケティング型の動画運用がしやすくなります。
経営者の視点
経営者としては、「まず1本ちゃんとした動画を作る」よりも、次のような発想を持つと成果が出やすくなります。
- “完璧な一本”ではなく“そこそこ良い十本”を目指す
- テキストや画像は社内で用意し、AIで複数パターンを作り、反応で勝ちパターンを決めるスタイルです。
- 動画の目的を絞る
- 認知向け(まず知ってもらう)
- 商品理解向け(特徴を伝える)
- 行動喚起向け(問い合わせ・来店を促す)
など、動画ごとの役割をはっきりさせると、テンプレートも選びやすくなります。
- 社内に“動画担当”を一人決める
- 専任でなくてもよいので、営業や広報から1人「動画を触ってみる人」を決め、月に数本の動画を作る習慣をつくると、半年後には大きな資産になります。
AIのおかげで、動画マーケティングは「資本のある企業だけの武器」から、中小企業でも手が届く武器へ変わりつつあります。
参考リンク
PR TIMES:動画生成AI「NoLang」に広告・マーケティング特化のテンプレートを大幅拡充
5. 「クールジャパンDXサミット2025」:インバウンドと地域マーケティングの最新トレンド
概要
クールジャパンDXサミット実行委員会(運営事務局:Vpon JAPAN)は、2025年11月21日に開催される「クールジャパンDXサミット2025」のセッション内容を公表しました。日本の歴史・文化、IP・コンテンツ、ファッション・ビューティ、観光資源などの「クールジャパン」な魅力を、デジタルの力で国内外に発信・強化することを目的としたイベントです。AI×クールジャパン、インバウンドの高付加価値化、地域収益の最大化などをテーマに、自治体・民間企業・スタートアップ・投資家が一堂に会する場として位置づけられています。
中小企業への影響
観光・飲食・小売・体験サービスなどを手がける中小企業にとって、インバウンド需要の取り込み方は今後の売上を左右する重要テーマです。
このイベントでは、
- どの国・地域の訪日客が、何に価値を感じているか
- どのようなデジタル広告・SNS・データ活用が有効か
- 地域全体でブランド化するための連携方法
といったヒントが共有されます。
単独の店舗や企業だけで動くのではなく、自治体や周辺企業と連携した「面」でのマーケティングが重視される流れが、より一層強まっていると言えます。
経営者の視点
地方の事業者や観光業に関わる企業ほど、次のような行動が有効です。
- 自社が属する地域の“強み”を言語化する
- 食、自然、歴史、ポップカルチャーなど、どの軸でクールジャパン文脈に乗れるかを整理します。
- 自治体や観光協会、商工会のDX・マーケティング担当とつながる
- 個社では難しいインバウンド施策も、地域で予算をまとめることで実現しやすくなります。
- イベントレポートや登壇資料に目を通す
- 現地参加が難しくても、公開情報をチェックし、「自社に持ち込めるアイデアはないか?」という視点で拾っていくと、実行可能な施策が見つかりやすくなります。
インバウンドは一部の大都市だけの話ではなく、地方の小規模事業者にとっても大きなチャンスです。早めに情報を取りに行くことで、競合より一歩先に動くことができます。
参考リンク
PR TIMES:〖いよいよ明日開催!〗「クールジャパンDXサミット2025」豪華セッションを一挙ご紹介
まとめ
今回取り上げたニュースから見えてくるのは、「AIとデータを前提にしたマーケティングの再設計」が本格化しているという流れです。
- 博報堂の「Branded AI Agent」は、ブランドを人格として設計し、AIエージェントを通じて一貫した体験を届ける世界観を示しました。
- LINEヤフーの「Connect One構想」は、LINEとYahoo!を中心に、広告・CRM・EC・オフライン接点を横断する巨大なプラットフォームを描いています。
- Metaの「Meta AI」は、SNS上の顧客接点を投稿中心から「AIを介した会話中心」へと変えていく可能性があります。
- 動画生成AI「NoLang」は、動画広告の制作負担を軽くし、少額予算でもテストマーケティングを回しやすくします。
- クールジャパンDXサミットは、地域・文化・観光とデジタルマーケティングを組み合わせた新しいインバウンド戦略の方向性を示しています。
中小企業の経営者としては、すべての最新技術を一度に追いかける必要はありません。大切なのは、
- 自社のブランドや強みを言語化すること
- 顧客との接点(LINE・SNS・店舗・サイト)を整理し、どこにデジタルやAIを組み込むか決めること
- 小さく試して、結果を見ながら改善すること
この3つを粘り強く続けることです。
今日ご紹介したニュースをきっかけに、
- ブランド人格シートを作ってみる
- LINEやSNSの情報を整え直す
- 動画生成AIで1本だけでも試してみる
といった小さな一歩から始めてみてください。
その一歩が、数か月後・数年後の売上とブランド力の差につながっていきます。

